DAY BREAK
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し、ちょっとこの街見てくる。食事は二人でどーぞ」
背を向けながら言い残して、来た道を戻る。
「何だよ……みんなで食った方が楽しいのに」
「あい」
残されたナツが、不思議そうに呟いた。
《腹は?》
「空いてない」
《じゃあ適当に街漁るか?》
「漁るな、泥棒じゃあるまいし」
《間違えた、散策するか?》
「間違え方が間違ってる」
彼等がいる通りから一本外れた、少し細い通り。人目を避けるように建物の陰に隠れ、それでいて三人を視界に入れられる位置に立ったニアが息を吐く。
《アイツ等が動かないとやる事ないんだよな、俺達》
「ああ」
《……何かないのか?》
待つのが嫌いな訳ではないが、好きでもない。だがパーシヴァルの方に用事はない。
ならばとニアに問うと、フードの奥で目線が上を向く。これは考えている時の癖だと知っているパーシヴァルは、大人しく口を閉じた。
「そうだな…」
何かあったかな、と小さく呟いて、数秒。
「…強いて言うなら」
《お》
「パーカー買いたい」
《……パーカー?》
ニアが頷く。
彼が言っているものは解る。パーシヴァルがいた時代にそんなものは……あったかもしれないが、着た覚えはない。が、名前を言われさえすれば、どんなものかくらいは思い浮かべられた。
パーカー。毎日のように、というか実際毎日ニアが着ている紺色のそれ。余程気に入っているのか同じ色、同じ形のものを何枚も買ってあるはずだ。
「そろそろ一番昔に買ったのがよれ始めててな、新しいのを…そうだな、二着はほしい」
《…好きだよなあ、それ》
「快適なんだよ」
《あ、服で思い出したけどさ。アンタのあれ、ベディが預かってるからな》
「……マジで?」
パーカー姿と同じくらい見慣れた服一式を思い浮かべながら言えば、何とも言えなさそうな顔をしたニアが絞り出したように呟く。その眉間に皺が寄っているが、わざわざ指摘などしない。これが嫌悪ではなく苦手意識から来るものだと、パーシヴァルを含めベディを除く全員が理解しているのだ(ベディには苦手意識を抱かれている自覚すらない。おめでたい奴め、とマーリンは言う)。
困ったような戸惑ったような、苦虫を噛み潰したような、あれこれ混ぜ込んだような顔をどうにか引き戻して、「とにかく」と話を戻す。
「オレの用なんてそのくらいだし、買い物してる間に見失ったら意味ないだろ。下手に動いて見つかっても厄介だし」
《そうかあ?アンタが服買ってる間は俺が見てるし、アンタなら見つからないように上手くやるだろ》
「……まあ、やれなくはないが」
《なら問題なし。善は急げって事でさっさと行こうぜ》
ぱん、と手を打って壁から背を離す。
自分より低い位置にある頭にぽ
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