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エターナルユースの妖精王
DAY BREAK
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てば自分の用を後回しにするのは目に見えているし、パーシヴァルとしては彼が自分より彼等を優先するのは面白くない。せっかくパーシヴァルを呼んだのだから仕事はこっちに任せて、彼は自分の用事を済ませてくればいいのだ。ニアが動くのはそれからであっても遅くない。

「…パーシヴァル」
《あれ、思ってたより早かったな》

と、名を呼ぶ声が上からして、小さく顔を上げる。ふわりと軽く着地したニアはそそくさとパーシヴァルの横にしゃがみ込み、ちらりとこちらを見上げた。
その目が何を問いかけているのかをすぐに理解して、苦笑しつつフード越しに頭を撫でる。

《大丈夫だって。三人とも無事だよ》
「なら、いいんだが」
《ていうかアンタ、意外と買い物早いんだな。もっと時間かかるかと思ってた》

買うものは決まっていたし用もないのに店に長居するようなタイプでもなさそうだから当然といえば当然だが、まだ別行動を一方的に言い出して決行してから然程経っていない。素早く買い物をして最高速度で飛んできたりしたのだろうか。
問うと、しゃがんだままのニアが少し残念そうに口を開いた。

「在庫がないらしくて、買えなかった」
《マジか》
「三日後には入るらしいんだが、それだけの為にまた来るのも面倒だし……オシバナの店舗には置いてあるって話だから、そっちで在庫を確保してもらってる」
《オシバナねえ…わざわざ行くのか?》
「元々モルガンと約束があったから丁度いい。あの辺りでしか買えない素材があるとか何とかで」

足が痛くなったのか立ち上がり、軽く前髪を払う。

「……まあ、オレの事はどうでもいい。今はアイツ等だ」
《あーはいはい。ちゃーんと見てますよっと》

面白くない。パーシヴァルからしたら彼等の方がどうでもいいのだが、ニアが言うなら逆らう訳にもいかないだろう。
適当に返して軽く手を振り、窓の向こう側に目を戻した。








「仕事の話をしましょう」
「おし」
「あい」

外から覗かれているなんて誰も全く気付いていない屋敷の中。あれこれ話が逸れながらも、真剣な面持ちのカービィがそう切り出した。
ナツの顔に笑みが浮かび、ルーシィが緊張からか唾を呑み込む。

「私の依頼したい事はただ一つ。エバルー公爵の持つこの世に一冊しかない本、”日の出(デイ・ブレイク)”の破棄又は焼失です」
「盗ってくるんじゃねえのか?」
「実質上他人の所有物を無断で破棄する訳ですから、盗るのと変わりませんがね……」
「驚いたあ……あたし、てっきり奪われた本か何かを取り返してくれって感じの話かと」

確か依頼書には公爵邸から本を取って来いと書いてあったはずで、破棄してほしいとは書いていなかった。だから奪われた大切な本を取り返してほしいといった手
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