24部分:愚王の末路その七
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愚王の末路その七
戦闘は既に終わっているようだ。反乱軍の勝利に終わったらしくセリスを讃える声が王の耳にも入って来る。
「糞・・・このわしがあの小僧の寄せ集めの軍に負けたというのか・・・」
夕陽の中汚れ斬った顔を橙に照らし出され王は悔しさと怒りの入り混じった表情を浮かべている。その時だった。
「遅かったな、ダナン」
城壁の上から声がした。それも王である自分を呼び捨てにして、だ。
「誰じゃ、わしを誰と・・・・・・」
顔を見上げたまま王は言葉を呑んだ。城壁にはドズルの旗ではなくシアルフィの旗が林立し城壁には自分の手足として暴政の手助けをしていた。大臣や貴族達の首が置かれていた。そして城壁の上に立つようにして緑の髪に白面の男がいた。
「レヴィン・・・・・・」
「リボー城は陥落した。貴様の部下達も全て処刑した。残るは貴様だけだ」
「くっ・・・・・・」
城壁に背を向け王は別の方へ逃げようとした。
「逃げられんぞ」
レヴィンが声を掛けたその時ダナン王の前に現われた者達がいた。
解放軍であった。セリス、オイフェをはじめとした解放軍の主だった将達は全員いた。その中にはヨハンとヨハルヴァもいた。
「この馬鹿息子共!女に惑わされ親に刃をむけるとはどういうつもりじゃ!」
二人の息子を指差し口から泡を飛ばしつつ口汚く罵る。それを見てヨハンは言った。
「それは父上が御自身を振り返ってから仰って下さい」
ヨハルヴァも言った。
「俺達はもう親父のやり方に愛想が尽きたんだ。悪いがもう縁を切らせてもらうぜ」
王は肩をワナワナと震わせた。
「こ、この・・・・・・」
完全に逆上していた。セリスが前に出て来た。
「ダナン王、今まで貴方の暴政により多くの者が苦しみ死んでいった。今その報いを受ける時だ!」
と言い剣を抜いた。しかしそれを城壁の上のレヴィンが止めた。
「止せ、セリス。こいつは私がやる」
そう言うやいなや城壁の上から飛び降り脚を折り曲げ手を着け着地した。その姿を見てフィーは声をあげそうになった。
「貴様の相手は私がしよう。久々の実戦になるしな」
「くっ・・・・・・」
「どうした?自害するか?それも良いだろう。せめて最後は王らしく死ね」
「ぬ、ぬおおおおおっ!」
レヴィンの挑発に切れた王は斧を振りかざしレヴィンへ突進した。レヴィンは眉一つ動かさずそれを冷静に見ていた。
「馬鹿が・・・」
一言呟くと右手を肩の高さに掲げた。
二つの影が交差した。レヴィンは風にマントをたなびかせながら不動の姿勢だったがやがて王の方を見た。
ダナン王は斧を振り下ろしたままの姿勢で止まっていた。やがて斧を持つ手が肘からオチ右肩から左脇にかけ鮮血が噴き出た。次に左腕が肩から落ち両脚の膝から血が噴き出た。最後は首
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