第41話 決意。踏み出し
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供を守るかのような気持ちであることも知っている。
「未遥ちゃんはね、大くんの事が大好きなんだって。だから転校しても尚、こうしてアプローチかけてるし、敵と思われた穂乃果にもああして接触してくるから…負けたくないなって、思ったんだ」
それを真正面から吐き出されたのだろう。
それによって触発された穂乃果は別人のように穏やかな笑みを浮かべてこう付け加える。
「でもね、穂乃果もね?あの子には負けたくないんだ」
まるで、何気ない一言のように。
「大くんの事が、好きだから。大地君の隣を他の女の人に譲りたくないんだ。もうそれくらい…貴方に夢中なんだ」
知ってた。気づいていた。
だけど、知らないふりをしていた。特に後ろめたさがあったからというつもりは無い。
ただ、気づいて素直にその感情に思うままに従ったら今までの関係に戻れないような気がしたからだ。
俺は、それでも穂乃果から視線を逸らさず気持ちを受け止める。
「もう、このままじゃいけないんだって気づかされたんだ。不本意だけど、恋の好敵手に」
穂乃果が浮かべたのは笑顔だけじゃなくて、その中に寂しいものが含まれている。
「別に今すぐ大くんの気持ちが知りたいわけじゃないんだよね。ただ気持ちを伝えて、穂乃果は後ろばかり見ないで前に踏み出す決意をしたんだってことを、知って欲しかったんだ。だからもう悩まないし、立ち止まらない。ラブライブ!に絶対出場して、トップになるんだ。それが今の穂乃果が進むべき道」
「お前…」
───もう、あの時の穂乃果じゃないんだな…
不意にそんな言葉がよぎった。
どうして浮かんできたのか俺にはわからない。
でも、それでもその言葉はしっくりきて穂乃果の新しい道を開くカギとなったように扉が開く。
「だから大くん...」
「なんだ?」
いつの間にか、俺の目の前に来ていた穂乃果が自分の胸に手をあてて、何かを確認するかのように目を閉じている。
「見てて、穂乃果がどこまで前に進めるか。穂乃果の新しい挑戦を」
太陽。
その言葉の通り、明るく照らされた笑顔を見せて彼女はVサインをする。
悔しいけど、その笑顔はとても可愛くて頬が熱くなるのを自覚した。
───負けない、と。
それは恋のライバル未遥に対しても、スクールアイドルとしてのライバルA−RISEに対しても。
どちらにも宣戦布告した彼女はとても強く見えた。
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