第41話 決意。踏み出し
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ら離れた瞬間、テーブルの上に置いてあった俺のスマホがぶるぶると震えだす。
誰からだろうか…?
ふと、脳裏をよぎったのはいつもの9人。例外として未遥。他に浮かぶ例としては転校前の数少ない気の知れた友人や教師などなど。
その中から選ばれた栄えある差出人は。
「…『話がある』って、なんだよ穂乃果」
いつものように絵文字とかで彩ることなく単純明快に送られてきたその一文は、かなり真面目な用件な気がしてならない。
その内容は伺えないが、『なにごと?』とだけ打って反応を見る。
「大地!早く手伝ってよ」
「待てって、大事な連絡が来たんだっつーの」
「大事な連絡?どうせデリヘリお嬢からのお誘いでしょ?」
「…もう母さんは黙って」
そもそもそういういかがわしい店というのは18禁ではなかったか?と思いながら、届いた新たな通知を見て俺は目を見開いてしまう。
『さっきね、大槻未遥という女の子とお話ししてたんだ』
数秒の沈黙。一度返信を返さずそのままテーブルの上にスマホを置く。飲みかけのぬるくなった紅茶を一口含むと、ふわりと独特な香りと味が舌と、脳と、心を癒す。
個人的には紅茶は温かいまま飲むのが通だと思っている。そっちの方が香りが強く湧き出るし、さらに加えて生姜を加えることで身体も温めてくれる万能飲料だ。
そういえばその肝心な生姜が切れかけていたような気がする。
どうせ飲むときに必要になるから明日にでも時間見つけて買っておこう。
…という現実逃避はこの辺にして。
汚物でも見るかのような目つきでスマホを眺め、特に続きの通知が来るわけでも無いソレを嫌々握ると震えた手つきでフリックする。
『…大槻未遥って誰よ』
『え?大くんのクラスメートじゃないの?』
『なんでお前が接触してんだよ』
『夕方お店に来てたの!それで話しかけられて…ねぇ、今から会って話すことできない?』
今から、とはいうもののただいまの時刻は19時になったばかり。
何処の家も夕飯の時間で、一家団欒に過ごす家庭が多いだろう。夏だからまだ日の沈みが遅く、若干夕焼け空ではあるものの外出するには面倒な頃合いだ。
母さんからも手伝え手伝えと奴隷扱いされているし、ここは一度キャンセルして───
しかし。
と、文字を打つ手が不意に止まる。
穂乃果は未遥と対面していると言っている。
あの時の…俺がまだ、向こうの高校にいた時の彼女ではなく、離れて、音ノ木坂に転校し、寂しさのあまり壊れてしまった彼女に、だ。
果たして親睦を深められたのかどうかが気になるところ
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