237部分:炎の継承者その一
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炎の継承者その一
炎の継承者
一騎打ちの勝利とシアルフィの解放、そしてセリスの帰還をシアルフィの市民達は城を挙げて祝った。どの店も客で埋まり人々は店だけでなく道や家でも食べ騒いでいた。
解放軍の将兵達も市民達と共に宴の中にいた。皆笑顔でその中にいる。
将達も宮城の宴の間で宴会を開いていた。堆く積まれた料理や酒樽が次々と消えていく。
その中でアーサーは今一つ気が晴れなかった。自分が解放軍に入るよう勧めたのが解放軍が倒すべきグランベル帝国の皇帝であったからだけではない。何故その皇帝がわざわざ自分の敵となるように自らの甥に仕向けたのか。アルヴィスの真意がどういったものなのか計りきれない。身内を自分の敵に回す愚はよく知っている筈だ。それをあえてした。袂を分かった父の居場所すら知っていたのに一度も来ず亡くなってから来た。そして自分に解放軍に入るよう言った。意味がわからない。アーサーは酒も進まず皆の輪に入りきれず一人で飲んでいた。
ふとその場を見回した。サイアスがいないことに気が付いた。
(涼みにでも行ったかな)
普段ならさして気に留めなかったであろう。だが今は気になった。少し話がしたいとも思った。周りの者に言って席を立った。
イシュトーは彼が席を立ち扉を開け部屋を後にするのを見ていた。だがすぐに視線を外し再び宴に加わった。
アーサーは廊下に出て暫く歩き階段を降りた。すぐ下に礼拝堂がある。そこから何やら話し声が聞こえる。どうやら二人いるようだ。そのうち一人の声は聞き覚えがある。
「サイアスか」
そしてもう一人は。
「誰だ・・・・・・?」
解放軍の者の声ではない。それがやけに気になった。
意を決してその中に入った。十二聖戦士を祭った祭壇の前にサイアスはいた。もう一人もいた。
「貴方は・・・・・・」
そこには紅の法衣を身に纏った老司祭がいた。アーサーは彼を知っていた。
「フェリペ司祭・・・・・・。どうしてここに」
フェリペはアーサーに対して畏まって一礼した。そして彼の顔を見て微笑んだ。
「よく似ていらっしゃる。まるでアゼル様が帰ってこられたようです」
「はい」
アーサーは答えた。
「ファラ神も喜ばれていることでしょう。神器を受け継がれる方がこれ程立派な方なのですから」
「えっ、神器!?」
アーサーはそれを聞いて思わず声をあげた。直系でもない自分がファラ神に選ばれるなど思いもよらぬことだからである。
「しかし俺には聖痕も・・・・・・」
アーサーは口篭もった。
「聖痕はファラ神の血を受け継がれる方ならどなたもお持ちなのです」
フェリペは言った。
「そしてファラ神はその中からお選びになるのです」
「そうだったのか・・・・・・」
アーサ
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