第七章
[8]前話
「結局この話は」
「そういうことなのね」
「そうだ、わし等はここでたまに飲んで食ってるだけだ」
「他には何もしておらぬ」
「実際御前さん達にも何もしていない」
「それが何よりの証拠ではないか」
熊も猿も二人にこの現実を出した。
「ではいいな」
「これでわかったな」
「ええ、そういうことね」
「確かに私達に何もしないし」
「そのこと自体がね」
「貴方達が人に何もしない証拠ね」
二人も納得した、二匹の言う通り自分達には何もしてこない。それどころか態度は極めて友好的である。
それでだ、二人も納得してだ。そのうえで二匹の古い妖怪達に言った。
「よくわかったわ、貴方達のことが」
「本当にね」
「貴方達は悪い妖怪じゃない」
「そのことがね」
「わかってくれたら何よりだ」
「わし等も有り難い」
二匹もこう返した。
「ではな、早く帰ることだ」
「また言うが娘さんが遅く外にいるものじゃない」
二匹は二人にあらためてこの話をしてきた。
「早く家に帰るんだ」
「そして休むことだ」
「ええ、じゃあね」
「もう家に帰るわ」
「早くそうするんだ」
「親御さんも心配しているぞ」
二人に穏やかな声で言った。
「それじゃあな」
「早く帰れよ」
「そうさせてもらうわ」
「これでね」
二人もこう返してだ、そしてだった。
妖怪達に手を振って別れて自転車に乗った、そのうえで顔を見合わせて二人で話した。
「じゃあね」
「ええ、帰りましょう」
「本当に遅いし」
「気をつけてね」
二人で話してだ、そのうえでだった。
自転車を進めて二人の街に帰った、そうしてそれぞれの家に戻りゆっくりと休んだ。妖怪達のことを知ってそのことに真実を知ることが出来た喜びを感じながら。
お化け 完
2016・11・23
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ