第四章
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「振り切ってね」
「帰るしかないわね」
「もう十二時だから」
とにかく時間が問題だった、二人は本来は夕方には帰られる筈であったのに遅れに遅れたことに苦い気持ちだった。
「急がないと」
「何につけても」
「それじゃあ」
「もう突っ切って」
「行きましょう」
「それしかないわね」
二人で話す、そして希が美奈代に言った。
「絶対に二人でね」
「うん、お化けが出て来てもね」
「逃げましょう」
「二人でね」
「何があっても」
「そうしましょう」
二人で話す、そしてだった。
二人で覚悟を決めてトンネルに入った、丁度そこで十二時になったが。
途中までは誰もいなかった、だが真ん中まで来たところでだ。
巨大な熊が胡座をかいて座っていた、その隣には白い大きな猿がいた。二匹の獣は二人を見て言ってきた。
「おい嬢ちゃん達夜は出歩くなよ」
「女の子は夜に出歩くなよ」
「夜はちゃんと寝るんだぞ」
「早く家に帰れよ」
「えっ、何あれ」
「熊と猿?」
二人も横に見た彼等について話した。
「人の言葉喋ってたわね」
「そうよね」
「何で動物が言葉喋るの?」
「おかしくない?」
彼等のところを通り過ぎてから話した。
「何なの?」
「ひょっとしてあれがお化け?」
「何か気になるわね」
「そうよね」
それでだ、二人は好奇心が恐怖を完全に征服してしまい。
自転車を一旦停めて熊と猿がいる方に向かった。すると確かに熊と猿だった。
彼等の姿を確認してだ、二人共首を傾げさせて話した。
「ひょっとしてこの熊さんとお猿さんがお化け?」
「そうなのかしら」
「ひょっとしてだけれど」
「トンネルで噂になっている」
「人を食べるとか憑いて殺すとか」
「噂になっている」
「それ?」
二人で話す、だが熊と猿はこう言ってきた。
「おいおい、わし等はそんなことはしないぞ」
「何があってもな」
二匹はこう二人に言った、見れば彼等の間には徳利やつまみと思われるものが幾つも置かれている。
「というか御前さん達よく近寄ってきたな」
「強くないのか」
「あっ、それはね」
「何ていうか」
二人もだ、熊達に言われてまた顔を見合わせて話した。
「好奇心が勝ったから」
「自然にね」
「確かに怖いって気持ちはあった?」
「そう思うけれど」
「何で熊さんやお猿さんがここにいるのか」
「凄く不思議だったから」
だからだというのだ。
「自然とね」
「ここにこうして来たけれど」
「トンネルの中に生きものがいるとか」
「普通にないから」
「ははは、実際にわし等は普通の生きものではないからな」
「ここに頼朝公が来られた時から知っているぞ」
鎌倉幕府の初代将軍で武家政権の創始者であるが歴
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