第六章
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「けれどそういうの抜きでな」
「羽生田ちゃん御前にもありがとうって言ったな」
「いつもありがとうっていう娘にしても」
「自分を好きじゃない相手にも言うからな」
「いい娘なのは確かだな」
「そんなことは出来ないからな」
中々とだ、翔平はこうも言った。
「やっぱりあの娘いい娘だな」
「そのことは間違いないな」
「滅多に出来ることじゃない」
「しかも自然に言ったし」
「いい娘だな」
「ああ、好きじゃないにしてもな」
個人的に合わない、このことはどうしようもないにしてもとだ。翔平は友人達に確かな声で話した。
「それでもな」
「いい娘なのは事実だな」
「あんないい娘いないな」
「相性悪い相手にも素直にありがとうって言えるって」
「結構凄いことだぜ」
「ああした娘はな」
翔平は考える顔で言った、今彼等がいる学校の中庭において。
「幸せにならないとな」
「いい娘だからか」
「だからか」
「ああ、いい娘はやっぱりな」
何といってもというのだ。
「幸せになるべきだよ」
「そう言うんだな」
「そう言える御前も凄いぜ」
「好きじゃない相手にそこまで言えるってな」
「ちょっとやそっとじゃない言えないぞ」
「俺のことはいいんだよ」
自分についてはだ、翔平は毅然として述べた。
「今はあの娘のことを話してるからな、だからな」
「それでか」
「そう言うんだな」
「ああした娘こそ幸せになるべきか」
「そう思うか」
「そしてなるだろうな」
幸せにというのだ。
「勿論変な奴に騙されないっていう前提だがな」
「それはあるな」
「その前提はな」
「どうしてもな」
「あるよな」
「それでもだよ」
何となくまりあがそうした騙されやすさを持っていると感じてだ、翔平は言った。しかしそれでもだというのだ。
「ああした娘は幸せになれるんだよ」
「どんな相手でも笑顔で有り難うって言える」
「そうした娘こそか」
「そうなれるんだな」
「そう思ったよ」
まりあに実際にありがとうと言われてだ、彼女が好きでない翔平もそう思ったのだ。そして実際にだった。
まりあは確かに騙されやすいがそれ以上にいつも彼女を助けてくれる友達が周りに多くいてくれて彼女を助けてくれた、そしていつもだった。
「ありがとう」
まりあは笑顔でお礼を言った、そうしてだった。
翔平が言った通り幸せな人生を送った、ありがとうと言う彼女を多くの者が好いて。
ありがとう 完
2017・1・17
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