第五章
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「明日も講義あるわよね」
「ああ、ある」
「じゃあその前にね」
「講義の前にか」
「少し汗をかかない?」
「汗?」
「最近ジムにも言ってないでしょ」
彼の今の様子を見れは明らかだが一応問うたのだ。
「そうでしょ」
「ずっと飲んでるからな」
「じゃあ朝早く起きてまずはね」
「ランニングでもするっていうのか」
「それでシャワーも浴びて」
「えらく健康的だな」
「お髭も剃ってね」
見れば髭もあまり手入れしていない感じだ、実はヴィンチェロは元々髭が濃い方だがそのせいで顔の下半分が黒いそれに覆われだしている。
「そっちもね」
「髭もか」
「かなり伸びてきてるわよ」
「それならな」
「いいわね、朝早く起きてね」
「一緒にランニングしてか」
「汗をかいてね」
そうしようとだ、ヴィンチェロに提案してだった。ヴィンチェロも頷いた。だがレオノーラを送ってこの日も飲んだ。そして。
朝にレオノーラが部屋に来た、家は近所同士なので歩いて行き来出来るのだ。それで彼女に起こされてだった。
ジャージを着て走った、だが二日酔いでだ。
「頭が痛いな」
「そうよね」
「それもかなりな」
「飲んでるからよ」
それでとだ、レオノーラは横を走る彼に言った。
「けれどこうしてね」
「走ってか」
「それでシャワーも浴びて。出来ればお風呂がいいわね」
「湯に浸かってか」
「二日酔いを解消して」
「髭もか」
「剃ってね」
そうしてというのだ。
「一緒にあなたの研究室に行きましょう」
「そうしてくれるか」
「それでその論文見せてくれるかしら」
自信作であり酷評されたそれをというのだ。
「そうしてくれるかしら」
「それじゃあな」
「ええ、じゃあね」
「見せるな」
「お願いするわね、じゃあスピードも上げたりしてかなり走るわよ」
「ランニングも久し振りだな」
ヴィンチェロは二日酔いで重くなっている身体を動かしながら言った。
「そういえば」
「スポーツもしてないでしょ」
「ここんところはな」
「そうよね、けれどね」
「こうしてか」
「汗をかいてお酒も抜いて」
二日酔いで残っているそれをだ。
「そのうえでよ」
「それからか」
「論文見せてね」
「何はともあれ酒は抜けってことか」
「健康的にね」
「それでどうなるんだ」
「どうにかなるわよ」
満面の笑顔をヴィンチェロに向けての言葉だった。
「それこからね」
「そんなものか」
「そうよ、五体満足で仕事はあるから」
この二つの条件が揃っているからだというのだ。
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