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力なんていらない
第三章
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「興味ないのに」
「普通にいいことじゃないのか?」 
 父は母の横でいささか他人事の様に言った。
「勘やよくて運動神経がいいのなら」
「だから私はウェブ小説家になりたいから」
「それでか」
「忍者の能力はいらないでしょ」
 父にも言う。
「別に」
「まあそれはな」
「お医者さんにもいらないし」
「そう思うとトーマスはよかったかもな」
「兄さんはお父さんに似て」
 また母をむっとした顔で見て言う。
「何で私は」
「お母さんに似たのかっていうのね」
「似てよかったのは」
 母のそのアジア系の美貌をたたえた顔を見ての言葉だ。
「顔と容姿だけよ」
「そっちはいいのね」
「この外見気に入ってるし」
 自分でもというのだ。
「だからね」
「そういうのだけでよかったのね」
「忍者に興味ないから」
「それも全くなの」
「何度も言うけれどウェブ小説家になって本業もね」
「普通のお仕事ね」
「オリンピックとか興味ないから」
 それも全く、というのだ。
「だからね」
「無欲ね」
「無欲とかじゃなくて興味がないの」
 そうした話は、というのだ。
「だからいいの」
「バスケットボールでもスター選手になれないか?」
 父はこんなことを言った、いささか他人事の調子で。
「そうしたら」
「小柄だから」
 アメリカ人の中では、というのだ。
「無理よ」
「ああ、あのスポーツは背が高くないとな」
「幾らバネがあってもね」 
 それこそジャンプが空を飛べる位でもだ。
「あのスポーツは別よ」
「やっぱり背か」
「そう、私小さいからね」
 アメリカ人の女性の平均身長には遠く及ばない、それは自分でも自覚していることだ。
「だからね」
「バスケは最初からしないか」
「そう、体育の授業ではそれなりに出来たけれどね」
「それなりか」
「そう、それなりに」
 その程度に過ぎないというのだ。
「専門ではしないわよ」
「じゃあソフトか」
「それで大学に行ってね」
「忍者とは関係のない仕事をしながらか」
「ウェブ小説家になるから」
 こう言ってだった、マーガレットは実際にスポーツはしても忍術を頼るつもりはなかったしそれを使うつもりもなかった。
 そうして学園生活を過ごしていたがだ。
 その彼女にだ、クラスメイト達は言うのだった。
「運動神経いいしね」
「何かスポーツで大学とか考えてないの?」
「ソフトじゃ一番ショートで活躍してるし」
「そっちは考えてないの?」
「勉強はしてるわよ」
 これがマーガレットの返事だった。
「私なりにね」
「見たら凄い運動神経じゃない」
「足も速いしジャンプ力もあってね」
「肩も握力も強いし」
「持久力もあってね」
「それでもなの」
「それでも
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