サンライト
[13/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「そうか。だがなぜこれを我に渡した?」
「渡そうが渡さまいが、時間をかければ同じ情報は手に入ります。ならばあえて渡すことで調べる時間を無くし、別の事に時間を費やせるようにしてもらいたいのです」
「ふん、無駄に時間を使うよりはいいか。しかし……ヴァランシアのリーダーにして最後のイモータル、公爵デュマ。奴は……何者なのだ?」
「一度しか会ってないので、私も詳しくは知りません。ただ、他のイモータルと比べて明らかに年季と格が違うのと、元人間ってことまでしかわかりませんでした」
「元人間だと? そういえば教主殿から以前、イモータルには元人間もいると聞いたことがあるな。……なるほど、元人間だったからこそ、この事件はここまで複雑に入り組んだのか。そしてラタトスクと違い、もし計画が成就されても人類を滅亡させるつもりが無い違和感の理由もおおよそ察した。だが……それならば人間だった頃のデュマはどのような人物だったのだろうな?」
その疑問に、カエサリオンは何も答えなかった。それは知っていてもあえて黙っていたのか、もしくは純粋に知らないのか、ディアーチェでも彼の表情からは何も読めなかった。
ただ……赤きドゥラスロールとスカルフェイスの例で考えると、人間がイモータルになる場合は死を望むほどの深い悲しみや絶望、もしくは世界を焦がすほどの怒りや憎しみがきっかけになっている。そのパターンで行くと、デュマも人間時代の頃にそれだけの負の感情を抱いたことになる。ディアーチェは気づいた、人類の業が強く深く刻まれたせいで吸血変異したのが元人間のイモータルであると。
「極論だが……被害者の報復心こそが、彼らをイモータルに変えるのか。そしてイモータルとなった彼らが報復を行い、今を生きる者達をアンデッドにする。この負の連鎖を断ち切らねば、此度のような事件が再び起こる可能性がある。……はぁ〜、悩みは尽きぬな」
そして銃口を下げたディアーチェに、カエサリオンは訝しげに尋ねる。
「おや、ここまで来たのに私を撃たないのですか?」
「貴様を撃った所で結末は何も変わらん。弾を無駄にするだけだ。……いや、貴様が牢にいる時間を消してしまうぐらいならば、あえて生かして償わせる方がよっぽどマシだ。それに何より……マキナは我の手が血に染まることを望まぬだろうからな」
「そうですか。闇の書の先代主の娘には、感謝しないといけませんね」
「ふん。貴様の礼なぞ、マキナにとってみれば赤レーション一つほどの価値も無いわ」
そう言い捨ててディアーチェが部屋を立ち去った後、入り口で待っていた地上本部の局員ティーダ・ランスターが無言でカエサリオンを連行していった。教皇カエサリオンが今回の事件に関わっていたことを聞いた時、彼を含めた局員達は天地がひっくり返るほどの衝撃
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ