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リリなのinボクらの太陽サーガ
サンライト
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いた言葉に、ディアーチェは警戒を緩めずにらみつけながら言葉を続けた。

「そもそも奴は過去にロストロギアの被害を受け、胸の内に抑えようのない怒りと憎しみを抱えながら、しかし報復を為せる力が無い連中の心の拠り所でもあった。自分達の怒りを代わりに晴らしてくれる存在……それが聖王教会元最強騎士アルビオン大司教。小鴉どものような“強い人間”とは違い、“弱い人間”が縋る対象だったのだ」

「ええ、彼らは正論や綺麗ごとを述べているだけでは救えない者達です。いくら加害者にやむを得ない事情や贖罪の意思があるとはいえ、被害者の悲しみは癒えません。しかし法律は復讐を禁止している以上、被害者には泣き寝入りをしろと言っているようなものです。賠償金、懲役、従属期間……法の裁きでは満足できなかった彼らはそんな“意味を見出せない贖罪”より、自分達と同じ苦痛……それこそ親しい者を失うほど明確な痛みを望んでいたのです」

「その痛みこそがアルビオンを突き動かし、マキナと小鴉どもをつけ狙ってきた悪意の正体か。だがアルビオンは倒れ、スカルフェイスも我の仲間が決着をつけている。つまり連中の報復心の預け場が無くなるのだが、聖王教会の弱体化によって連中への抑止力が低下してしまう以上、次は何をしてくるのか予測がつかなくなる。戦う力が無くとも、ゴシップなどを用いれば陥れることは容易いのだからな。現に貴様は管理局が把握していなかった過去の闇の書事件の映像を、ネットに一斉にバラまいた。それは即ち、小鴉どもへの中傷や罵倒の思考が再燃することを意味する。結局、この戦いは勝っても負けても小鴉どもの立場や安全が危うくなる……いや、初めからそうなるように仕組んだのだろう、教皇カエサリオン?」

そう言い切ったディアーチェは特別製のM1911A1の銃口をカエサリオンに向ける。

「貴様は強硬派筆頭のアルビオンと対立し、穏健派の旗頭として推薦された人望ある教皇。闇の書の被害者の不満をリンディやカリムらと共に抑え、小鴉らの立場を擁護していた。孤児院を通じて身寄りのない子供の保護や資金援助も行い、管理外世界にも積極的に歩み寄り、余計な対立が生まれないように尽力もしてきた。そう、貴様は誰がどう見ても善良で理想的な教皇だった。だが……」

一呼吸置き、ディアーチェは裏の真実を語り始める。

「その裏ではアルビオンと手を組み、強硬派穏健派どちらの派閥も支配下に置いていた。普段は教皇として穏健派の活動を行い、カリムや小鴉といった管理局寄りで正義感の強い連中の信頼も得ることで、彼女達の動向が瞬時に把握できる。そして、その情報をアルビオンに横流しすることで強硬派を動かしてきた。アルビオンとの対立構造は、周りに疑心を向けられないための表向きの姿……もしアルビオンと話している所を目撃された所で、何かしらの口論をして
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