暁 〜小説投稿サイト〜
転生も転移もしていない私が何故ファンタジーの世界で魔王と呼ばれる事になったのか。
広がる世界
私は世界に佇む
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出すには、世間の皆々様に『どうですか、ほら安全でしょー、便利ですよー』と証明する事が必要になる訳だ。
で、その証明をする為の臨床実験の許可を企業は情熱溢れる圧力と多額の資金をばら撒いて手に入れた。
ここまで言えば判るだろうが、その臨床試験の被検体、貧乏くじとも言うかな、私はそれに選ばれてしまった。
脳にシステムの核となる有機デバイスを埋め込んで、暫く経過観察をしながら様々な機能を利用してデバイスの変質を確認しつつ諸々の問題点を洗い出す、正にモルモットな訳だ。
そんな理不尽を迎え入れなければならない諸々の個人的な理由はまぁ今は置いておくとして、私はその手術を受け、予定では目を覚ました後はそういったカリキュラムを受ける筈だった。
しかし麻酔を受けて途切れた記憶、そこから覚醒して周りを確認した時周りに存在したのは、ほこりが積もったカビ臭いラボの様な風景と、人影皆無な半壊した地下施設。
取り敢えず自分が寝ていたと思われる無菌カプセルから出て、外へ出る途中の無菌処置室に収納されていた作業着……つまり白衣を羽織って、ガレキまみれの通路を這う這うの体で脱出を果せば冒頭に説明した世界が目の前に広がっていた。
長時間眠っていた為か言葉が上手く紡げなかったが、その余りにも唐突に変化した周辺状況と、理不尽さに思わず発した第一声が
「何じゃコリャ」
だった訳だが、そこから更に理不尽が私に舞い降りた、主に外的要因では無く内的に。
『わ、びっくりした』
そんな能天気かつ第三者の声が頭の中に響き、呆然とする白衣一枚のヘンタイさんな格好である私の長い受難の日々は幕を開けた。
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