暁 〜小説投稿サイト〜
転生も転移もしていない私が何故ファンタジーの世界で魔王と呼ばれる事になったのか。
広がる世界
私は世界に佇む
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常に昨日よりも技術的に進んだ今日を欲求する人間という生き物は現状の限界を淘汰する為に、モラルのハードルを下げて新しい分野へと手を付け始めた。

 より効率的に、更に小型化を施し、いつでもどこでもどんな時でも世界を知り、そこに関われる手段を。

 その答えが小型化された通信デバイスを人体へ埋め込み、操作も肉体の動作に頼らず意識を介してのシステム。
 それは技術的には可能だった、が、問題点は幾つか残されていた。

 医療用では無い機器を人体に埋め込むという、本能が拒絶すると共にモラルにも反する有体と、先にも言った最新技術という部分。
 新製品と言うのは市場に出た時点で既に型遅れであり、時間が経過すれは更に新しい物が自動的に世界へ排出されていく。
 人体に機器を埋め込むという外科的処置を要する物は頻繁に行うというのには適さない、つまり人体埋め込み型の機器と言うものは常に本体をアップデートする事を想定したシステムにはそぐわない。

 そんな心的にも状況的にも破綻した技術を確立する為に私は研究プロジェクトに従事していた。

 一度処置を施せば取り替えずに済む様、埋め込むデバイスは生態組織を基にした構造で、使用頻度や外的情報で変質し、常に最新の機能を使えるという夢の様で無茶なデバイスの開発。
 それがもし完成すれば製造・販売という分野は淘汰されていくだろうが、恒久的なメンテナンスと維持の為の販路が新たに発生する為、多種多様な業種を抱え込んだグループは最終的に帳尻が合うという試算の元、そのプロジェクトは割とひっそりと、それでも着実に進められていった。

 そしてプロジェクト発足から足掛け十数年、雛形となるデバイスは完成した。

 元は単純に通信機能のみが施されたそれは、使用者が頻繁に使う部分が成長していき機能が特化する、最終的には個々のニーズに沿った形で機能するという物がウリのシステム。
 有機体で構成されたそれは人体と半同化する為に、多少の馴れは必要だが人体の一部と同質の使用感を持つ、更にメーカーと契約している限りはシステムのアップデートを介して常に最新機能を使用し続けられるという夢のデバイス。

 しかし機能面の問題は解決はしたが、人が己の体に異物を埋め込み、更には同居するという心因的な問題やモラルという問題は手付かずのままだった。
 それは言葉を尽くしての説明や話し合い等では解決は見込めない、物が本能に直結する類の問題は、極論で言えば実証して現物を見せ、納得させなければどうしようもない。

 半分医療的な物に片足を突っ込んだこのシステムは動物実験によっての安全は実証されてはいたが、肝心の人体を使用しての臨床例は皆無だった。


 さて、長々と説明を続けてきたが、要するにだ、こんな未知のデバイスを商品化して世に送り
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