226部分:決戦その五
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決戦その五
オイフェの作戦はこうであった。まず帝国軍の攻撃を受け退くふりをして三日月形の包囲陣を形成する。次に敵軍がメテオを斉射する準備に入ったならば飛兵をその後方に回り込ませる。そして斉射するその時に四方から一斉に攻撃を仕掛け包囲殲滅するーーーー。自軍の圧倒的な物量と相手の戦術の一瞬の隙を衝いた見事な作戦であった。
既にセリスのいる本陣には次々と戦果を伝える報告が入ってきている。敵兵一万を包囲、二万を殲滅、ケインとアルバが率いる部隊が第一陣を突破、敵の弓兵隊を殲滅した重装歩兵隊が彼等と合流、そして制空権の確保、と戦局の有利を伝えるものばかりである。
「ユグドラル最強といわれた帝国軍がこうも呆気無く・・・・・・。これは天佑だろうか」
「いえ、そう思われるにはまだお早いかと」
オイフェが言った。
「アルヴィスを倒さねば。あの男の首を取らねば完全な勝利とは言えません。行きましょう、今日こそあの大罪人を天の裁きにかけこの世に正義を取り戻すのです!」
セリスとオイフェも馬に乗った。シアルフィの大旗が前へと大きく動いた。
戦局は完全に解放軍の手中にあった。解放軍の完全な包囲下で帝国軍は所々で寸断され各個撃破されていった。
ヴェルトマーの炎の旗は地に落ち泥にまみれていった。
「・・・・・・誰かいるか!?」
ルーナは暴風の如き敵軍の中部下を探した。
「こちらに・・・・・・」
数騎こちらに来た。常に彼の側で戦っている側近達だ。
「他にはいるか!?」
彼は問うた。
「残念ながら・・・・・・」
その中の一人がうなだれて答えた。
「そうか・・・・・・」
ルーナはそれを静かな様子で聞いた。辺りでは剣撃の音と銀の光が戦塵の中に舞う。彼の側をその数騎が護衛に入った。
「皆先に行ったか。最後に嘘をついてくれたな」
彼は口の端を歪めて言った。
「死ぬ時は同じだと言い合ったというのに」
皮肉を込めたつもりであった。しかしそれ以上に寂しさが漂う声であった。彼等はアルヴィスに仕えるより前から共に戦ってきた戦友達だったのだ。
「だがまだ間に合うな」
彼は言った。
「どうせこれで最後だ。思う存分暴れるぞ」
ルーナの言葉に側近達も微笑んだ。そして一斉に敵軍の中へ斬り込んだ。
ルーナの前に一人の剣士が現われた。ホリンである。
「ほう、お主か。ならば相手に不足はない」
ルーナはホリンへ剣を振り下ろした。そして激しい一騎打ちの末に果てた。
「・・・・・・残ったのはこれだけか」
地上に降り立ち部下達を見渡したフォードは力無く言った。
「制空権は完全に敵の手に落ちたな」
「はい・・・・・・」
部下の一人が答えた。その上には解放軍の竜騎士及び天馬騎士が舞っている。
「ふむ・・・・・・」
彼は呟く
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