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提督はBarにいる。
山風のお悩み相談・その1
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「ふぅん、タコを使った料理ねぇ……」

「そう、出来たら……みんながあんまり食べた事がない料理がいい……の」

 オドオドしながら俺に相談を持ちかけて来たのは白露型の8番艦・山風だった。なんでも、姉妹からだけでなく鎮守府中の皆から妹か娘のような扱いをされており、内心怒り心頭なのだとか。

「長門さんには会う度にたかいたかいされるし、加賀さんには毎回飴とかチョコとか渡されるし、五十鈴さんなんか出撃の度に付いてこようとするし……」

「Oh……」

 正直、俺は頭を抱えた。長門のはいつもの病気だから仕方無いと割り切れるが、加賀の奴は過去にMIの時に護衛を務めて貰った縁から、五十鈴の心配性は恐らく山風の最期による物だろう。何せ、東京湾の沖合いで敵潜水艦に撃沈されているのだ、娘の様に庇護欲を掻き立てられる山風が潜水艦に苦手意識を持っていると知れば、面倒見の良い五十鈴ならば付いて行こうとするのもまぁ、解らんでもない。何せ、山風は他の白露型の姉妹と比べても背が小さく、知らない奴が見れば末っ子に見えなくも無い……何と無くだが頼り無さげに映ってしまうのだ。

 しかし、山風もウチに在籍している以上はそこいらの駆逐艦よりは鍛えているのだ。ウチの恒例と化している1ヶ月の新人しごきにも耐え抜いているし、着々と戦果を伸ばしている。それこそ、先に着任していた妹2人に追い付け追い越せと言わんばかりの勢いで。過保護も度が過ぎれば相手の心を傷付ける刃となるのだ。

「だからね、私も一人前だっていうのを……見せたいの。ダメ?」

 その小さな身体を震わせながら、涙を目一杯に溜めてこちらを見上げてくる山風。止めてくれ、俺は女の涙に弱いんだ。

「解った、あいつら戦果で見返そうとしても有能な連中ばっかだからなぁ。それ以外の分野で認めさせるしかねぇだろう」

 タコで馴染みの薄い料理か……。俺も少し頭を捻らんといかんな、こりゃ。とにかく、食べながら教えるという約束をして、その日は別れた。タコの仕入れからメニューの選定も考えるのに時間が欲しいからな。





 山風が相談に来てから3日後、ある程度メニューが絞り込めたので店に呼び出した。

「おう来たな……とりあえず、何か飲むか?」

「じゃあ……タコを一杯食べるから、和風のカクテル。甘口のを」

 おっと、まさかカクテルを所望されるとは思わなかった。てっきりソフトドリンクかと……って、こういう子供扱いが嫌だって本人は言ってんだからな。気を付けにゃ。

「あいよ……早霜、任せた」

「了解です……」

 そう言って早霜はフルート型のシャンパングラスを用意し、梅ワイン30ml、グリーンティ・リキュールを5ml、ZIPANG(ジパング)という名前の発泡清酒を60ml注いで軽くス
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