第一章
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酒呑童子
牧瀬由貴は娘の小雪に酒の飲み方について聞かれてだ、まずは目尻に皺が出来てきてはいるがまだまだ結婚前の雰囲気が強いその顔を顰めさせて娘に言い返した。
「あんたもう十六だったわね」
「ええ、そうよ」
「本当は二十歳になってからだけれど」
酒を飲むのはというのだ。
「まあ八条学園に通ってるしね」
「あそこじゃ皆飲むから」
「八条町が条例で十五か十六から飲んでいいしね」
「ええ、それでなの」
小雪は団地のリビングのテーブルの自分の席に座って牛乳を飲みつつ母に答えた。
「私もね」
「飲もうって考えてるの」
「桐子ちゃんとそうしたことも話したし」
「ああ、あの娘と」
由貴も彼女のことは知っている、娘の親友として家にもよく来ているのでそれですっかり馴染みになっているのだ。
「一緒になのね」
「飲もうかってお話して」
「それでお母さんに聞いたのね」
「そうなの」
実際にとだ、小雪は自分とは全く似ていない母にまた答えた。実は彼女は父方の祖母に生き写しなのだ。顔立ちも髪の色も背もだ。
「それでだけれど」
「そうね、お母さんも飲むけれど」
由貴は考える顔になって娘に言った。
「けれどあまり参考にならないわよ」
「そうなの?」
「だって寝酒だけだから」
飲む酒はというのだ。
「お父さんの方がいいんじゃない?」
「お父さんね」
「お父さんも飲むから」
「そういえばお父さんビール好きよね」
「ええ、ただプリン体ゼロのしか飲まないわよ」
「どうしてなの?」
「痛風に気をつけてるからよ」
だからだというのだ。
「そうしたビールしか飲まないわよ」
「そうなの」
「けれどお父さんは楽しんで飲むから」
「むしろお父さんに聞いた方がいいの」
「そうしたら?」
「そうしようかしら」
小雪は冷蔵庫を開けてそこから牛乳を出そうとしている母に応えた、見れば由貴は白いジャージの上からどてらを着ている。足はスリッパと厚い生地の靴下だ。
「お父さんが帰ってきたら」
「そうしたらいいわ」
「そうね、ただね」
「あんた最近お父さんとあまり話しないわね」
「何か話しにくいの」
どうにもとだ、小雪は実際の年齢より幼く見える顔で言った。
「最近」
「そうした年頃だしね」
「高校生って」
「それは仕方ないわ、まあ話しにくかったらね」
「どうすればいいの?」
「自分達で考えてみたら?」
桐子と、というのだ。
「そうしたら?」
「二人で」
「自分達で話して考えるのも人生の勉強よ」
そう言いつつだ、由貴は牛乳をコップに入れてさらに電子レンジに入れてホットミルクを作っていた。それを飲んで寝るのだ。
「だからね」
「それじゃあ」
「ええ、お母さ
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