第四十四話 あえて罠にその六
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「神様ですらそうでしょ」
「神話の」
「日本神話なんかそうでしょ」
「人間臭くてミスとかしてますね」
「伊邪那岐命、伊弉冉尊もね」
日本神話では人間に寿命が出来たのもこの二柱の兄妹にして夫婦である神々の些細なことから生じた、この二神は出会いでも過ちを犯している。104
「ミスをしているわね」
「はい、そういえば」
「神様だってそうなのよ」
「それならですか」
「間違い、問題のない社会はね」
「ないんですね」
「そうよ、常にね」
人間の社会はというのだ。
「そうしたものはあるのよ」
「そうなんですね」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「こうしたこともあるのよ」
「どうしてもですか」
「いい人がいれば悪い奴もいる」
「それも世の中ですね」
「そうしたことも受け入れて」
「そのうえで」
「今回のこともやっていくわよ」
優子はまた龍馬に言った。
「いいわね」
「そうしていきます」
「龍馬君はそうした子じゃないけれど」
わかっているがそれでもという言葉だった。
「いいわね、何があってもね」
「暴力教師も新聞記者もですね」
「殴ったりしたら駄目よ」
「奴等と同じだからですね」
「しかもああした連中は自分がやることには何も言わなくても」
それでもというのだ。
「自分がされたらこの世の終わりみたいに言うのよ」
「自分が殴られたりしたらですか」
「そうよ、あくまで自分達だけだから」
沖縄の基地反対運動でもそうだ、自分が罵られる言葉には過剰にそれこそマスコミや県議会まで使って声高に抗議する、だが自分達が機動隊員の個人情報や家族にまで恫喝を及ばせることには問題がないというのだ。
「そうした相手だからね」
「とことん汚い連中なんですね」
「だからヤクザ屋さんより酷いのよ」
「そうなるんですね」
「けれどね」
「はい、暴力は絶対にですね」
「振るわない、誰もね」
龍馬だけでなく、というのだ。
「そうした相手だってわかっているからこそ」
「そこまで汚い相手だってことをですね」
「わかっていてね」
「佐世保に行きますか」
「そうしましょう」
優子は朝食を食べながら穏やかな声で言った、そのうえで。
副所長と岡島が来てだ、二人と合流してだった。彼等は佐世保に向かった。ここで彼等は電車の中で衝夫達に見られて警戒される場合を考えてだ。
優花とは離れた位置で帽子やサングラス等を変装して見守っていた。岡島はサングラスをかけたうえで言った。
「もう見ていますかね」
「可能性はあるわ」
副所長が答えた、メイクを普段と変えてそれでわからなくしている。
「やっぱりね」
「そうですよね」
「一人で来いとは言ってたけれど」
メールでだ。
「それで一
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