巻ノ七十九 昌幸の策その四
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「戦うことはするぞ」
「はい、わかりました」
「薩摩隼人として」
「そうしますな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「ここで下がっては薩摩隼人ではないわ」
「その名にかけてですな」
「思う存分戦い」
「そしてそれからもですか」
「ありますな」
「ここで下がってはただの意気地なしとなり武名は落ちる」
島津がこれまで築き上げたものがというのだ。
「完全にな、しかしな」
「それでもですな」
「死力を尽くして戦えば」
「例えそれが負け戦でも」
「島津家の武名は轟き」
「その後にもですな」
「残る、我等は家を第一に考えておる」
島津家の存続、それをだ。
「それならばじゃ」
「この戦はそれが考えなら」
「絶対にですな」
「退かぬ」
「戦の場で思う存分戦うことですな」
「そうするとしよう」
こう言ってだ、義弘は石田の方に残ることを選んだ。だが伏見城攻めは石田達が中心となっていた。
石田は城を守る鳥居に降る様に勧めた、だが。
鳥居はその使者にだ、笑って言った。
「いや、武士ならばここは戦うもの」
「だからでありますか」
「退いては武門の名折れ」
それ故にというのだ。
「我等は一兵もです」
「退かず」
「戦いまする」
こう言うのだった。
「この場で」
「そうですか」
「はい、そしてそれがしの白髪首を取られては如何か」
明らかに死を前提としていた、そしてだった。
戦に入った、伏見城は忽ちのうちに大軍に攻め立てられた。石田はその采配を執りつつ言ったのだった。
「敵であっても無礼は働くでない」
「相手を立て」
「そのうえで」
「そうじゃ、戦うのじゃ」
こう言うのだった。
「よいな」
「はい、では」
「武士として戦いですな」
「功を挙げよ」
「そう言われますか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「武士として恥ずべきことはするな」
「わかり申した」
「それではその様に攻めます」
「それではこのまま攻めて」
「そして攻め落とします」
「そうせよ、鉄砲を撃つのじゃ」
まずはというのだ。
「城に向けてな」
「まだ大砲は使うでない」
島も言う。
「今は鉄砲を使え」
「大砲は置いておく」
「そうしますか」
「そうじゃ、鉄砲の弾を撃ち込むのじゃ」
こう言ってだ、島はまずは鉄砲を使わせた。そしてだった。
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