221部分:闇の血脈その四
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の諸将が集まっていた。その中には円卓や椅子は置かれてはいなかった。燭台に照らされた中には端々に解放軍の旗が立てられ諸将はその中で武装したまま立っている。これといって整然と並んでいるわけではない。だが盟主であるセリスは後ろに掛けられたシアルフィの軍旗を背に解放軍の中心であるシャナン、オイフェ、そしてレヴィン等と共に上座といってよい場所に立っていた。
諸将はセリスの口から来るべき時が来た事が告げられるのを固唾を飲んで待っていた。そしてセリスの口がゆっくりと開かれた。
「皆、心して聞いて欲しい。たった今帝国軍がこのユングヴィに向けて進軍してきているとの報告が入った」
場がさらに静まり緊迫し、空気がその度合いを一層高めた。セリスは一同を見渡した後話を再開した。
「兵力は三十三万、全ての兵力を投入してきた。そしてヴェルトマーの大軍旗が掲げられている」
それが何を意味するか、解らぬ者はいなかった。
「帝国軍は我が軍の奇襲に警戒しつつ進撃してきている。あと数日でこのユングヴィに達するだろう」
さらに続ける。
「我が軍としてはこのまま手をこまねいているわけにはいかない。全軍をもって帝国軍を迎撃する」
そこまで言うと一息つき目を閉じた。そして目を開くと声量を高めて言った。
「出撃は明朝、皆今日はゆっくりと休んで英気を養ってくれ」
腰に吊り下げているティルフィングに手を掛けた。そしてそのままサッと引き抜き右手で高々と掲げた。白銀の光が辺りを照らす。
「この戦いでユグドラルの運命が決する。皆、持っている力を全て出し切るつもりでこの戦いに挑んでくれ!」
「おおーーーーーーっ!」
一同その手にする武器や拳を掲げ叫ぶ。それは勝利を手にせんと奮い立つエインヘリャルの雄叫びのようであった。
翌日日の出と共に解放軍は陣を発った。黄金色の光がその進軍を照らす。戦史に永遠にその名を残し後世の多くの芸術家達に描かれてきた『シアルフィ平原の戦い』がいよいよ幕を開けようとしていた。
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