動き出す時代
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「三人で砦攻めは無謀だけど」
「そんなことしないよ。まずは、正面からお姉ちゃんに対しての勧告、その次に西の国に対しての勧告、最後に強行突入してお姉ちゃんを拉致って逃げるよ」
即断即決が第2王女の性格でした。真正面から砦に向かい、堂々と名乗りあげる。
「私は水の国の第2王女、こちらに水の国の第1王女が尋ねてきたと聞いた。第1王女は東の国に嫁ぐことになっている。これは決定事項である。今この時も、水の国の民が危険にさらされている。王族の責務を果たさぬなら、全てを捨てろ。名誉も富も、その命すらも捨てろ。気に食わぬことには己が力で持って道を切り開き、原因を打ち払え。初代様の言葉を守れ!!」
「くくっ、どう聞いても水のイメージに似つかわぬ過激な言葉ではあるが好ましくある。水の国の初代は天地開闢とは言わんが、内海を作り出すほどの偉人であったな。ウチの国と似ている。上に立つものは誰よりも多くをその手で切り捨てろってな」
苦笑と共に黒紫の鎧を着た男が砦から現れる。
「貴殿は?」
「分かりやすく言えば西の国の皇太子。今は東の国の進行に備えてこの砦に詰めている」
「水の国が侵略されるのは想定内ということですか」
「そのとおりだな。オレと貴殿か姉君との政略結婚の話も出ていたが、水の国の王は東の国を選んだ。それが全てだ」
「そうでしたか。それで、姉はどうしていますか」
「一応はまだ賓客ではあるが、人質に使えるかもしれないんでな」
「それは困りましたね、姉は東の国への贄ですから」
「ならば」
皇太子が腰の剣を抜く。
「やることは」
第2王女が侍女から水を受取り刃を形成する。
「「ひとつ!!」」
二人が同時に踏み込み、一度の交差で数度の剣が弾きあう。それだけで互いに相手の力量を見切ったのか口角が上がる。
「くっ、くくくく」
「ふっ、ふふふふ」
二人が笑いながら舞うように剣を交わす。円舞が如く立ち位置を常に変えながら剣舞が続く。それも次第に第2王女が押され始める。
「来て!!」
「来い!!」
「よっしゃあ!!」
第2王女の声に合わせて傭兵が躍りかかり、皇太子が二本目の剣を抜く。水と剣の円舞に、剣と手甲・脚甲の円舞が加わり激しくなる。二次元だった動きが三次元へと移り変わる。そして、それを邪魔するように人の身長よりも大きなトマホークが三人の間に飛んでくる。
「ぐはははは、何やら楽しそうではないか」
「東の国の王か。人の楽しみを邪魔してくれるとはどういう了見だ」
「何、花嫁がさらわれたと水の国の王が言うのでな。ちょっくら足を伸ばしたまでよ。そこの嬢ちゃんがそうか?」
「自分で逃げ出した花嫁とやらなら保護しているがな。欲しけりゃ持って
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