220部分:闇の血脈その三
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なりかねぬ」
「・・・・・・・・・」
一同俯いた。アルヴィスの言う事は真実をついていた。
「こうなってしまったのは全て私の責任だ。報いは私だけが受ければよい。皆までもが受ける必要は無い」
言葉を続けた。
「只今をもって帝国軍は解散する。皆故郷に帰るなり新たなる道を見つけるなりして幸せに暮らせ。私などの為に命を捨てる必要は無い」
皆何も言えなかった。アルヴィスの心を痛い程よく解かっていたからだ。
「今まで私などの為によく働いてくれた。だが別れの時が来たのだ。セリス皇子は若いながら仁徳を兼ね備えた人物、卿等の事を決して粗末にはすまい。これからは新しい世の為に生きよ」
そう言うと席を立った。
「さらばだ」
扉の方へ行き部屋を出た。後には俯いた十一将だけが残った。
「・・・・・・・・・」
何も話さない。いや、話せなかった。しかし一同のその顔に何かが宿った。
互いに顔を見合わせ頷き合う。そして席を立った。
深夜であった。城を出る一人の男がいた。
(今行けば昼にはユングヴィ城のシアルフィ軍の陣に着くな)
男はアルヴィスであった。意を決した顔である。
(私ひとりが死ねばそれで全てが終わる。こうするのが最も良い方法だ。さて・・・・・・)
野営地を見回す。手頃な良い馬を検分している。その時だった。
野営地に灯りがボッ、と灯った。
(ムッ!?)
それは一つではなかった。二つ、三つと暗闇の中に灯る。すぐにそれは見渡す限りの炎となり夜の闇を払った。
「陛下、何処へ行かれるのです」
灯りの下には帝国軍の将兵達がいた。先頭に立つ十一将の中央に立つオテロが進み出てきた。
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