MySword,MyMaster
Act-4
#2
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物退治はこう見て専門なんでね……ッ!」
炎が、舞う。
***
「ああ、姉、さ、ま――――」
星が、堕ちる。
***
「裕一、裕一、私――私、ずっと――――」
「だめだだめだだめだ、行かせない行かせるものか!!」
塞がり行く世界の綻びで、王と騎士は再び手を取り合う。
「――大好き」
「雪華、雪華、雪華ぁぁぁぁぁ――――――!!!」
黄金の粒子、弾けて。
***
「忌まわしきことに、湖の女神は星屑の聖剣を鍛ち、悪戯好きの老人めが俺にそれを与えた。ならばこそ、それは俺の役割だったのだろうよ」
騎士王は呟く。その両腕に、二振りの星の剣を構えながら。
「拘束、解放――決議開始」
――是は。
――世界を救うための、戦いである。
「束ねるは星の息吹」
聖剣の騎士王。
精霊たちに愛され、星屑の下に生まれた、竜の子は。
「『――――――』」
今、聖剣を、抜き放つ。
***
「ねぇ……」
「はい、何ですか?」
「グレーシャは、どうして僕の命令を聞いてくれるんだい?」
彼が、私に問う。
彼はとても不安そうだった。理由は分かる。彼はとても自己評価が低いから、自分に素直に従う人間がいるということがきっと信じきれないのだろう。
無理もない。だって彼は、即位したばかり。聖杯を求める騎士たちを束ねる者になったばかりの彼だから。
――でも。
私みたいな幼い娘の言葉が、彼に届くかは分からないけれど。彼を安心させてあげられるのかは分からないけれど。
――私が彼にもらったものは、『唯一無二』だから。たくさんのものを彼に貰った。その全ては、私がその『唯一無二』であることを彼からもらったからこそ、受け取ることができたのだから。
だから私は笑顔で、彼に――裕一に、こう、答えることができる。
「あなたが――」
「私に、名前をくれたからです」
――きれいだから、と。
――君は、その……すごく、透明だから、そういう名前が、いいな。と。
私にくれたから。
「私が、氷室雪華だからです」
それが、裕一の心を支えてあげられたのかどうかは分からない。私なんかの言葉だから、もしかしたら、まるで効果をもたらさず、むしろ裕一を揺るがせてしまうのかもしれない。
けれど。
彼が私に、名前のなかった私に名前を付けて、何の価値もなかった私に価値をくれたという、その『事実』だけは。
いつまでも、変わらないから。
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