第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#48
FAREWELL CAUSATION[〜Phase Act・3 Three Blaze〜
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れる無明の双眸がソレを可能せしめる。
鳳神と獅子王、真獣の決着はついた、だが戦いそのものはまだ続く。
「――ッ!」
「――!?」
何の脈絡もなく、背後から現れたティリエルが
シャナを甲冑越しに裸締めにした。
正確に云おう、実は 『正 義』 の霧を体表ギリギリに展開し、
それを保護色のように迷彩して封絶の光を屈折、
余程眼を凝らしていなければ僅かな “ゆらぎ” にしか視えない
幻影と成って少女の背後を取る事に成功したのだ。
周囲には炎の生み出す無数の陽炎、
加えてソラト撃破後の間隙を突かれたというのもデカイ。
『正 義』を使わず炎儀、法儀が使えたのなら
この体勢、このタイミングで逆 詰 みを掛けられたのかもしれない、
だが前者がなければ近寄る事能わず、後者が無ければ決め手に及ばない。
故に彼女の出した結論は。
「あぁっ!! ううぅぅぅッッッッ!!??」
自ら灼熱の鳳鎧に躰を埋め動作を封じるという原初的対処。
乳房に焼き鏝を当てられる何処ろではない、
油を塗った銅柱を罪無き者に抱かせる
暗愚の狂帝が生み出した炮烙に等しい。
だが言うまでもなく策有ってのコト、
燐子 “ピニオン” を中継して発せられる恒常的回復能力。
自動制御のため本体が瀕死の重傷を負わないと発動しないが
この捨て身の戦形ならその条件を充たしながら相手を封じる事が出来る。
筆舌に尽くしがたい地獄の苦しみに我が身を焼く事になるが
今の彼女にはその全てを背負う覚悟が有る、
最後まで諦めない決意が在る。
無明の双眸を介する間もなくそのコトに感応出来る少女は、
何も言わずその気高き姿を見つめていた。
甲冑の温度を上げる処か下げようとする心情も生まれたが
結局どちらもしなかった。
何も、変わる事はないのだ。
正義だろうと、悪だろうと、大切な者を護ろうとする真情は。
そう、誰も、孤独などではない、
懸命に生きようとする者は、独り残らず、誰も。
「――ッ!」
一切の光を透さない筈の瞳が、微かに憂いを含んだように視えた。
それは、これから先の 『結末』 を
見据えているからかも知れなかった。
自分と同じ存在の、その生命の終わりすらも。
←TOBE CONTINUED……
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