第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#48
FAREWELL CAUSATION[〜Phase Act・3 Three Blaze〜
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れば彼女に毛筋ほどの傷をつける事など
造作もなき事象。
―――にもかかわらず!
赤裸の少女が剥き身の刀身を諸手に獅子へと襲い掛かった。
まるでこのコトを予期していたかのように、肌に残る残留烈気、
そして真獣の激突で弾かれた『正 義』の霧、
スベテ織り込み済みでソラトと云えど極僅か気が緩む殆ど絶妙のタイミングで、
小細工など何も無い真刀の一撃を大上段から振り下ろした。
グアッッッッッッッッギイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィ
ィィィィィィィィィッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!
ボロボロになった凄爪で、ソラトは辛うじてその一撃を受け止めた。
膠着状態の鍔競り合い、紅世の宝具『吸 血 鬼』必勝の戦形である。
流石に消耗が激しいが先刻の激突に較ぶれば、
一呼吸の後に能力を発動させる事など苦もなきコト。
ましてや鳳鎧の庇護なき少女等、
実力もないのにしゃしゃり出る餓鬼に等しい。
焦壊したとはいえ装甲に身を包んだ獅子と一糸纏わぬ少女、
残された互いの能力を比すれば勝負の趨勢は明らかである。
「――ッッ!!」
『LULULU!! GIィィィ!!』
焼けた装甲に存在力が集束しだす、スタンドと同じように、
不屈の精神さえあれば
本体が瀕死の状態で在っても能力は消えない。
その時だ。
勝敗は正に、この一瞬の相克だった。
その時の天秤が傾きにより、
後の『運命』が大きく変わってしまうほどの。
「オ……」
極東に伝わる、古の剣技が極意。
ソレは、相手の剣を躱し己が一刀のみを打ち込むのでもなく、
相手より早く初動にて切り伏せるものでもない。
寧ろそれは不作法、卑怯者の所業と誹りを受ける。
「オォ……!」
本来 『刀』 とは本刃ではなく “鍔元” で斬れと云われている。
刀身の長さを活かしその間合いで立ち回るなら相手の剣も当らないが
自身の剣も永遠に届かない、一撃必殺には到底及ばない駄技に堕ちる。
故に真の兵 とは己が斬られる事を厭わない、
生き残ろうとも考えない、後も先もない、
ただ眼の前の一瞬へのみ死に狂いで殉じるのみ。
捨て身や特攻とは根本的に違う、
人間の 『宿命』 を詳 らかに現した時、
殆どのものは意味を喪くし実体も感覚も遺らない。
その永劫の虚無の中、如何に生きようとするか、如何に人として在るべきか、
『正義の道を歩む事こそ運命』 であるように、その身命こそが極意である。
真・灼眼の能力と極限まで燃え盛る気炎により、
一瞬にしろその領域に至った少女は
文字通り生まれたままの姿で苦難へ挑んだ。
ソ
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