お節もいいけどカレーもね?・その5
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ぎとほんだしを加え、蓋を取った状態で煮込んでいく。玉ねぎが柔らかくなった所で人参、蓮根、ゴボウを加えて更に煮込む。ある程度柔らかくなった所でめんつゆを加えて更に煮る。途中で煮汁が足りなくなりそうなら適宜水を足すのを忘れないようにな。
後から入れた人参やゴボウにも火が通ったら、大根を加えて混ぜている。一煮立ち。カレー粉を加えて全体をかき混ぜながら煮込んでいき、全ての材料に火が通ったら完成。
「ど、どうぞ……」
まず感じたのはその甘い香りだ。根菜ってのは内部に糖を蓄えてる物が多く、火を通すと甘くなる物が殆どだ。そのじっくり煮込まれた香りがこのカレーからも漂ってくる。スプーンで一口掬って、パクリ。
しっかりと火が通りつつもシャキシャキと歯応えの残る蓮根、ゴボウ。おでんのようにトロリとするまで煮込まれた大根。ほっくりとした人参。その全てが牛スジから出た旨味を吸って美味しさを数段UPさせている。さらにトロトロに煮込まれた牛スジがアクセントとなり、カレーに深みをだしている。和風の味付けも、いい。刺激的な辛さは無いがホッとする味わいだ。
「ハムッ、ハフッ!ハフハフッ、ハフッ!」
よっぽど美味いのかがっついてるなぁ長門……と思ったら、比叡だった。軽く目に涙が浮かんでるのは気のせいだろうか。
全てのカレーを食べ終えてから10分。俺を含めた4人の審査員は侃々諤々、優勝を選ぶべく議論を交わした。
「さて、優勝の発表は審査員長である提督にお願いしたいと思います!」
「あ〜……正直どれも美味かった。ただ、敢えて一番を挙げるなら……審査員との協議の結果、時雨のバターチキンカレーを優勝としたいと思う」
ワッと歓声の上がる会場内。嬉しそうに頬を染めながらこちらに寄ってくる時雨。
「ではでは、優勝した時雨さんにインタビューしてみましょう!」
「……ホントに僕が一番なの?嘘じゃないよね?」
「あぁ、どれも美味かったがお前のが一番美味いと感じた。紛れもない事実だよ」
そう言って頭を軽く撫でてやる。
「……ねぇ提督?」
「何だ?」
「僕、今日の演習で錬度が99になったんだ」
「そうか、なら明日にでも執務室に来てくれ。指輪を準備しておく」
あれだけ俺に好意を向けていた時雨だ、今更指輪を受け取らないという事もあるまい。
「だから……えいっ!」
その瞬間、時雨が背伸びして俺の唇に自分の唇を触れさせてきた。
「えへへ……ケッコンの前払い、だよ?」
自分からしてきたクセに、真っ赤になって俯く時雨。何だこの可愛い生き物。
「あ゛〜っ!時雨ばっかりズルいっぽい!夕立も提督さんのお嫁さんだから、チューするっぽい!」
猪突猛進
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