第三十三話 落ちる薔薇その十
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マイラは何とかだ、鍋の中のオートミールを全て食べて。
薬も飲んだ、そうしてから彼女の側近達に話した。
「では今から」
「お休みになられますね」
「その様にされますね」
「はい」
そうするとだ、頷いて答えた。
「これから」
「ゆっくりとお眠り下さい」
司教はマイラに深々とした声で応えた。
「今日も」
「はい、では」
「よく召し上がられて」
「お薬も飲んだので」
「後はです」
「眠られますね」
「そうさせてもらいます」
マイラは力のない声で司教に答えた。
「これより」
「はい、では」
「よくお休み下さい」
二人も応える、だが。
二人はマイラの前から退出してだ、侍女にも休む様に言ってだ。その足で太子のところに参上して話した。
するとだ、こう言ったのだった。
「マイラ様はです」
「どうにもです」
「やはり日に日にです」
「悪くなっておられます」
「今のお顔はです」
「どうしても」
難しい顔で話すのだった。
「かつての王の方々と同じです」
「三代に渡る」
「あの方々と同じお顔になっておられます」
「床から出られなくなった時の」
「どうやらだ」
太子は二人の話を聞いて難しい顔で述べた。
「エヴァンズ家の血にだ」
「病がですね」
「それがおありなのですね」
「そしてその病にですね」
「マイラ様もですね」
「罹っておられる」
「そうなのですね」
「そうだ」
まさにとだ、太子は難しい顔のまま答えた。
「そしてその病によってだ」
「代々の王はですね」
「早世しておられて」
「そして、ですね」
「そのうえで、ですね」
「マイラ様も」
「あの方も」
二人は太子の言葉を聞き項垂れて言った。
「その病に罹られている」
「そしてそれが為にですね」
「あの方はですね」
「亡くなられる」
「そうなられますか」
「そうだ、そうなる」
こう言うのだった。
「残念だが」
「はい、まことに」
「マイラ様がおられなくては」
「我々もです」
「どうすればいいかわかりません」
「どうにも」
「これからのことが」
どうにもとだ、言うのだった。
「我々もです」
「この国の旧教徒達もです」
「一体どうすればいいでしょうか」
「そのことも」
「卿等もそうだな、私もだ」
太子にしては珍しくだ、難しい言葉だった。
そしてだ、こうも言ったのだった。
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