第百二話 長崎に来てその六
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「弱くて小さくて」
「より大きな存在を認識してますね」
「神様は否定していませんかしらね」
むしろだ、僕に無神論というか共産主義についてブランデーを飲みながらそんなユートピアでハッピーエンドになるなら苦労はしないとか笑って言っていた。
「だから教会にも僕を連れて行ったことがあります」
「天理教の」
「神社やお寺にも」
そしてキリスト教の教会にもだ。
「神仏を感じることもいいことだって」
「その通りですね」
「やっぱり人の世界には神が存在していますね」
「確かな科学的な根拠はです」
それはというとだ。
「まだ出ていませんが」
「けれど科学でも」
「科学は万能ではありません」
間違ってもというのだ。
「この世界に万能はものはないのですから」
「人が造ったもので」
「そもそも人が万能ではありません」
「完璧でもですね」
「ありません」
そうしたものだとだ、僕に話してくれた。
「ですから」
「だからですね」
「はい」
まさにというのだ。
「科学も万能ではありません」
「そうしたものですね」
「その時の科学で全てを語ろうとするのは愚の骨頂でしょう」
何か柳田何とかいう人がそうだと思う、僕はその人の本を読んで馬鹿馬鹿しいと思ってついでにつまらない本を書くにも才能があってこの人はその方面の天才だと思った。
「そして不遜の極みです」
「自分達が一番だと思うからですね」
「そうしようと思うのです」
「けれど、ですね」
「この世に万能なもの、完璧なものはありません」
畑中さんは断言した。
「現代の科学もです」
「完璧、万能なら」
「これ以上は進歩しませんね」
「そうですよね」
「完璧、万能でないからです」
「さらに進歩していきますね」
「そうなのですから」
だからというのだ。
「それは愚の骨頂、不遜の極みなのです」
「そうですね」
「私はそう思います」
「そんなことをしたらそれこそ」
「主張にアラが出てです」
即ち無理や出鱈目がだ。
「そして批判され論破されます」
「そうなりますね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「するべきではありません」
「今の時代の科学が万能、完全と思うことは」
「他の学問も同じです」
「完全なものはないんですね」
「人は永遠に完全になれないのです」
この畑中さんの言葉は否定すべきものだろうかそれとも肯定すべきものだろうか、僕は聞いてわからなかった。
「人であるが故に」
「人は、ですね」
「そうです、完全でないのです」
まさにという言葉だった。
「完全なものはです」
「神様ですね」
「そして仏様です」
「そうした存在ですね」
「それこそ解脱しないとですが」
「解脱してもそれで終わ
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