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ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第二十二話 容疑者X
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第二十二話 容疑者X



男性プレイヤーを吊るしたロープ。
その彼を突き刺し死に至らしめた短剣。

それら物的証拠をストレージへと放り込むと、キリトはアスナとともに教会の入り口で門番をしてくれていたプレイヤーに礼を言ってから、未だ野次馬だらけの広場へと戻った。

念のため、門番役を買って出てくれたプレイヤーに聞いてみたが、やはり他のプレイヤーが出入りした形跡はなかったそうだ。
微かな可能性とはいえ空振りだと少々堪えるが、そこに執着している場合ではない。
意識を切り替える。
キリトはすぅ、と息を吸い込んで、広場に響き渡る大声で呼びかけた。

「すまない、誰か一部始終を見ていた人はいないか。いたら名乗り出てくれ」

周囲がざわめき始めて数秒後、おずおずと女性プレイヤーが人垣から身を現した。
キリトには見覚えのない顔だ。武器も装備も簡素なもので、おそらく中層から来た観光客といったところか。
彼女はキリトを見るや、怯えた表情を見せたがアスナがそれをフォローする形で彼女へ優しく語りかけた。

「ごめんね。怖い思いをしたばかりなのに」

「あ…あの……私《ヨルコ》っていいます」

か細い声で名を告げてくれた彼女の声色に、キリトはーーおそらくアスナもーー聞き覚えがあった。

「もしかして、さっきの最初の悲鳴は、きみの?」

「は……、はい」

ゆるくウェーブする濃紺色の長髪を揺らしてヨルコと名乗る女性プレイヤーはうなずいた。
アバターの外見からして十七、八歳くらいか。正確なところはわからないが、キリトより歳上だろうことは言うまでもない。

全体的に青系統。冷色に寄った装備から《ヨルコ》という名前は、もしかすると《夜子》と当てはめるのかもしれない。

そんなことを考えていると、彼女のダークブルーの大きな瞳から、涙の雫が浮かんでいた。

「私………、私、さっき……殺された人と、友だちだったんです……。今日は……あの人とご飯食べに来てて……それだけだったのに……彼が………!」

涙ぐむ声で話してくれていたが、堪えきれないといった様子で口許を覆い隠し、嗚咽を漏らし始めた。
キリトは視線を外し、アスナは教会の内部にあった長イスにヨルコを座らせ自分も隣に座って背中をさすった。

当然の事だろう。友人が突如殺されたのだ。しかも目の前であんな殺し方だ。正気を保っていられなくてもおかしくはない。
消え入りそうな声で、すみませんと何度も口にしていたが、むしろ謝るのはこちらの方なのだ。
今から開いた傷口を広げるような問答をするのだから。

「………ありがとうございます。もう、大丈夫です……」

言葉とは裏腹に顔色は優れないが、それでもこの返事ができるのだ。彼女は案外と気丈なのだろう。
「辛かっ
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