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Fate/Flood myth
第三話『終わりと、生誕』
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契約を恐れるのならば、この首、その剣で落とすが良い」

 三騎士の一角、弓兵(アーチャー)のサーヴァント。聖杯戦争に於いて召喚される七騎の英霊の内、三騎士と呼ばれるセイバー、アーチャー、ランサーの内、遠距離からの攻撃を得意とするクラス。その宝具は特殊なものが多く、聖杯戦争に於いてはジョーカー的役割を果たす事も多い。

 ――逆に言えば、こういったアクシデントが起こる可能性もあるという事だ。

 潔く自身の命を何でもないかのように差し出すアーチャーに、つまらなさそうにバーサーカーが溜息を吐く。彼女は鉄剣を晒した肩にそのまま担ぐと、アーチャーに冷ややかな目を向ける。
 本当に、ゾッとするほどに冷たい瞳だった。

「……そのような首、この手に要らぬわ。闘争の果てに得た首であれば喜んで斬り落としてやるが、ただ捧げられるだけの首を落として何になる。なんと無駄な手間か、なんと無意味な一刀か。……新たなマスターなりなんなりを見つけるが良い、見るに、その呪いもいずれ解けよう」

 そう言い残して、バーサーカーは武装を解く。優雅な漆黒の着物姿が揺らぎ、下からは兆仕が着させた深緑のコート姿が現れた。担いでいた鉄剣は消失し、あの名も知らぬ魔術師を殺すために地面に捨てた松葉杖の片割れを拾い上げ、兆仕に持たせる。
 バーサーカーは兆仕の肩を支えると、小屋の外に足を踏み出した。

 内心を正直に告げると、少しばかり驚いている。

 バーサーカーは反英霊だ。基本的には人間に仇なす者であり、人間を貪り尽くす化け物達の総称。であれば、人間の如き慈悲の心も、人間の如き精神性も持ち合わせている筈がない。それが、『戦えない者を殺して何になる』などと、騎士道とは言わないがそれに似た言葉を吐いたのだ。
 彼女の真名は、一応予想が付いている。古事記を触媒として召喚出来、そして八の竜尾を持つ復讐者。そんな伝承を持つ反英霊など、日本神話にはたった一人――否、たった一体しか知らない。

 しかし、彼女はそれを明かさない。であれば、これ以上思考は先に進めない。兆仕は彼女利用しているだけに過ぎず、彼女も兆仕を利用しているだけに過ぎない。

 お互いの利点を追求し、知るべき事は知る、知る必要無き事は知らぬ。それでいい。

 復讐の為に死後の魂すら燃やす彼女は、今や同胞――いや、共犯者だ。その関係性に余計な物は必要ない。ただ目の前に吊るされた餌を食い尽くし、先を求め、辿り着き、食い尽くす。その繰り返し。

 この聖杯戦争は、兆仕にとって、それだけの事なのだから。

「――しかし、随分と奇天烈な力だな、マスター。確かに強力ではあるが、全く使いこなせていない」

「……っ、ぎ、……煩、い、使いこなす、必要はないんだよ……どうせ後には、残らない力だ」

「世の
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