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Fate/Flood myth
第三話『終わりと、生誕』
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「……サーヴァントの反応を感じた、こちらに上がってくるようだ」

「何……っ!?く、くそっ!もう見つかったのか……!役立たずめ!アーチャーッ!全てはお前が原因なのだぞ!どう責任を取るつもりだ!?」

 オールバックに整えられていた髪を掻き毟り、無駄に華美な装飾に身を包む魔道士が、半狂乱になって乱暴な言葉を吐く。しかしそれに対するアーチャーの対応は冷ややかなもので、「そうは言われても、こればかりは俺にもどうしようもないからね」と、首だけで器用におどけて見せる。
 無論、首しかない訳ではない。体が動かないから、首だけで応答する他無いのだ。

 手足に感覚は無く、ただ座っているしか無い。サーヴァントとして召喚された割には酷く脆弱な体で、きっと今アーチャーが座る椅子の横に立て掛けてある弓すら、引く事は叶わないだろう。

「私はこの通り、戦う事も逃げる事も叶わない。マスター、貴方は逃げるといい。幸い、アーチャークラスには単独行動のスキルが与えられている。なんとか見逃して貰うことができれば、後から合流することも出来るだろう」

「馬鹿な!指先一本すら動かせないサーヴァントであるお前を、敵が見逃すはずが無いだろうが!貴様、私に聖杯を諦めろと言うつもりか!?」

「そうは言っていないよ」

 彼が――ルクシオラの家系の末席であるレイドが聖杯戦争に参加するマスターとして選ばれたのは、幸運と言う他あるまい。ルクシオラからは幾人ものマスター候補が選定されており、幾ら魔法の才が末席にしてはズバ抜けていたからといって、その何人もの候補から自身が選ばれた事を、レイドは天に感謝した。

 願いを汲む願望器『聖杯』は、聖杯戦争に勝ち抜いたマスターの願いを叶える。

 自分は、こんな末席などで収まる器などでは無い。もっと高みに登れる、才能ある、選ばれし者である筈だ。そんな根拠のない自信だけがレイドを突き動かし、その魔術の才を磨くモチベーションとなっていたのだ。
 聖杯を用いて、自身にあらゆる天才を超える、圧倒的なまでの力を。そんな想いと共に、英霊召喚を行なった。

 それが、蓋を開けてみればこのサーヴァントだ。

 短く切られたクセのある銀髪に、蒼い瞳。か細い肉体には必要最低限の鎧が纏われており、成程その弓は確かに立派なものだ。
 三騎士である事は良かった、希望を言えばセイバーが最良ではあったのだが、アーチャーでもまだやりようはある。実際、前回の第七次聖杯戦争に於いて、優勝者はアーチャー陣営だった筈だ。だが、それでも、だからと言って、これはないだろう。

 英雄のクセに、一般人どころかそれ以下の身体スペック。ステータスは驚愕のオールE、いや、実際にはそれ以下だろう。そもそも体が
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