死にたくないので
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だから扉を開けに来るその声は、明らかに苛立ちを込めたものになっていたが、扉の前に立っている俺を見て動きを止める。
「こんにちは」
「なんだ、あんたかい」
ノックをした人物が俺だとわかるとわずかに笑みをこぼし頭をなで回してくるポーリュシカさん。前々から思っていたけど、彼女は俺とウェンディには優しい気がする。エドラスのグランディーネだから、俺たちに親心的なものを持ってくれているのだろうか?
「それで、今日はどうし・・・」
なぜここを訪れたのかを聞こうとした彼女だったが、俺の顔を見て用事を悟ってくれた。だが、なぜか頭を抱えるような仕草をした後、深いため息を漏らす。
「なんだい。あんたもかい」
「あんたも?」
不思議な言い回しに首を傾げる。その疑問に答えるために、彼女は俺を中へと招き入れる。
「あいつと同じ症状なんだよ」
先客を指さしそちらを見る。そこにいたのは、黒い髪をした上半身裸の美青年。
「グレイさん!!」
リオンさんの弟弟子である氷の魔導士、グレイ・フルバスターさんだった。
「お?シリルじゃねーか。久しぶりだな」
名前を呼ばれた彼はこちらへと振り返る。その顔には俺と同じような模様が刻まれていたが、今はそれどころではない。
「お久しぶりです!!」
懐かしい人との再会に大喜びで飛び付こうと駆け出す。だが、その途中であることに気付き、足を止める。
「どうした?」
迎え入れる準備ができていた青年だったが、足を止めて周囲をキョロキョロと見回す俺を見て訝しげな顔をしている。
「あの・・・ジュビアさんは?」
俺が足を止めた理由は、ギルド解散の後に彼と共にその場から立ち去ったジュビアさんのことだ。彼女もこの場に来ているなら、グレイさんに飛び付いたりしたら後が面倒くさくて仕方がない。
「ジュビアは来てねぇよ。抜け出してきたからな」
「そうなんですか?」
それを聞いてホッとしたような残念なような・・・一人懐かしい人に会うと、他の人にも会いたくなってくるから不思議だ。
「ん?シリル、もしかしてお前も・・・か?」
落ち込んでいると、グレイさんが俺の顔に伸びてきている模様に気付く。そうだった、この模様をどうにかしたくて来たんだった。
「グレイさんもですよね?」
「あぁ、昨日から急にな」
彼も最近になってこの模様が腕から伸びてきてしまったらしい。しかも彼も原因がわからず、医学の知識を持っているポーリュシカさんなら何かわかるかもと訪れたらしい。
「二人揃っておかしなもんでも食べたのかい?」
「いやいや!!そんなわけないじゃないですか!!」
俺とグレイさんが同じ症状ということは、これはやっぱり滅
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