死にたくないので
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う言い残して扉から小さな足音が離れていく。しばらくすると行ってきますと声がして、扉がバタンと締まる。
「行ったかな?」
物音を立てないようにベッドから起き上がり、そーっと扉を開き外の様子を伺う。どの部屋からも人の気配がしないことを考えると、みんなちゃんと出掛けたみたいだ。
「じゃあ俺も動き出すとするかな」
顔を付近まで模様が出ているので隠せるようにニット帽とネックウォーマーを身につける。まだ秋口ではあるけど、これを付けても気にならない程度の温度になりつつはある。
ガチャ
扉を開いて外を見回してから鍵を閉める。さてさて、ポーリュシカさんの家は確か・・・
「向こうだったかな?」
マグノリアの周辺の森に住み着いているポーリュシカさん。彼女の自宅を目指し、ゆっくりと歩き始めたのであった。
「あれ?そろそろだと思うんだけど・・・」
それから数時間ほど経った現在。俺は以前ナツさんたちと訪れたポーリュシカさんの家の付近にいるはずなんだけど、正確な位置がよくわかっていないため、なかなかたどり着けないでいる。
「クンクン、クンクン」
もう面倒なので匂いを頼りに歩いてみることにする。グランディーネとポーリュシカさんの匂いが一緒だから、すごく探しやすいんだよねぇ。
「あれ?この匂い・・・」
グランディーネの匂いを探っていると、一人別の人物の匂いが漂ってくる。それも、以前会ったことがある匂いだ。
「ずいぶんと懐かしい気もするけど、誰だったかな?」
何度も会ったはずの人物のはずなのに、思い出せない。最近はラミアの人としか会ってないし、昔接点があってもそう簡単には思い出せないのが現状なんだよなぁ。
(でも、同じ方向から匂いが来ているような・・・気のせいかな?)
二つの匂いが来る方向へと向かっていく。徐々に匂いが近付いてくると、前方に見覚えのある一軒の家が見えてくる。
「お!!あったあった!!」
ようやく辿り着いたポーリュシカさんの家。さっきまでどこかに行っていて帰ってきたばかりなのか、家の前に強く匂いが残っている。
「てかあの匂いもこの家からするんだけど・・・」
そして謎の匂いの正体もこの家からしていることが明白になった。う〜ん・・・匂いはちゃんと覚えているのに、誰のものだったか全然思い出せない・・・
「ま、いっか」
誰かは中に入ればわかるだろうし、気にしていても意味がない。模様を隠すために身に付けていたニット帽とネックウォーマーを外し、扉をノックする。
「誰だい。今取り込んでて・・・」
人間嫌いだというポーリュシカさんは人がこの場所に来るのをひどく嫌っている。
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