死にたくないので
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太陽の光がカーテンの隙間から部屋へと侵入してくる。それがちょうど顔に当たって眩しくなったところで、ゆっくりと目を開いていく。
「もう朝か」
大きく背伸びをしてから布団を剥がす。背伸びをすると身長が伸びるって聞いてから毎日朝起きて一番最初に背伸びをすることにしてるんだよね。
「レオン、ラウル、起きて」
「スゥ・・・スゥ・・・」
「ムニャムニャムニャ」
いまだに隣で寝ている少年と猫を揺すってみるが、二人ともまだまだ深い夢の中。仕方ない、先に着替えてしまうか。それから起こしても充分間に合うだろうし。
寝起きでふらつきながらパジャマを脱ぎながら今日着る服と下着をタンスから出そうとそちらに向かう。
「ん?」
その際視界に入った左腕がいつもと違うような気がして、立ち止まってそこを見る。
「・・・」
しばしの硬直。なんだか腕が黒く変色しているような気がしているのだが、まだ寝惚けているのだろうか?一度目を擦り再度そちらに視線を落とす。
だが、腕は黒く変色したままで、上半身の方まで伸びているのが目に入った。
「ぎゃあああああああ!!」
「なんだ!?」
あまりのことに驚いて悲鳴を上げる。その声で目覚めたレオンはこちらを向いた後、大きく目を見開く。
ドタドタドタ
それとほぼ同時に廊下から聞こえてくる複数の足音。その正体をすぐに把握した少年は、足音が扉の前にたどり着くよりも早く扉へと向かい鍵をかける。
ガチャガチャ
扉を開こうとノブを回す少女たち。しかし、それは鍵がかけられたために開けることができない。
「あれ!?開かない!!」
「シリル!!何今の声!!」
ドアが開かないとなってますます大騒ぎのシェリアとウェンディ。念のため扉を押さえているレオンが俺に静かにしておくように合図した後、扉越しに二人へと話しかける。
「大丈夫。なんか変な夢見てただけみたい。今は落ち着いて寝てるよ」
「寝言だったの?」
「ビックリしたぁ」
悪夢で思わず飛び起きるパターンはよくあるけど、そのまま二度寝に付くとは俺もずいぶんと図太い神経をしていると思われているな。ただ、シェリアもウェンディもその説明で納得してしまったらしく、声のトーンが大慌てから安心したものへと変わっていた。
「あんまり騒ぐと起きちゃうから、静かにしておいて」
「うん」
「ご飯できてるから起きたら連れてきてね」
寝ていると思っている俺を起こさないようにと配慮して、静かな足音でこの部屋からリビングへと戻っていく二人。二人がいなくなったところで、レオンと空気と化していたラウルが俺の方を向く。
「それ、どうしたんだ?」
「それよりまずは服着れば?」
左半身を飲み込みつつある黒い模様に目を細めるレオ
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