廃墟の章
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エルへと、不思議そうにマリアが問い掛けた。その問い掛けに、ミヒャエルは意を決したように答えたのであった。
「私が第三位王位継承権をもつ王子だからだ…!」
このミヒャエルの答えに、マーガレット以外の全ての人々が驚きのあまり口を閉ざしてしまった。
「私の真の名は、ミヒャエル・エリンガー・フォン=プレトリウス。現国王シュネーベルガーW世の第三王子だ…。」
そこまでミヒャエルが打ち明けるように話すと、後方から唐突に声を掛けられた。
「よく言った。全く、お前を炙り出すのに骨が折れた。」
ゾクッとするような冷やかな声であった。その声にミヒャエルは聞き覚えがあり、振り返り様にその名を叫んだ。
「ヘルベルト兄上!」
そこに立っていたのは、銀髪長身の男であった。しかし、その顔は美しくも恐ろしい顔と言えた。この男はミヒャエルの二番目の兄であり、第二王位継承者である。
「ほぅ…我が名を覚えていたか。だが…もうお前も用済みだ。死んでもらおうか。」
ヘルベルトはそう言ってニタッと悪魔の様な笑みを見せるや、一気に剣を抜き払ってミヒャエルへと迫った。
だが、一方のミヒャエルは丸腰であり、何とかヘルベルトの剣から逃れようと脇へ体勢を飛ばそうとしたが、運の悪いことに石に足を取られて体勢を崩して倒れてしまった。
「我が王位を怯やかす者は、全て消え去るのだ!」
ミヒャエルは覚悟した。もう体勢を立て直している余裕なぞ無かったのである。
しかし、その刹那…。ミヒャエルの前へと一人の女性が飛び出し、その女性がヘルベルトの剣をその身に受けたのであった。
「マーガレット…!」
ミヒャエルの盾になった女性は、マーガレットであった。彼女はその身を屠して、ミヒャエルの命を守ったのだ。だが、それで終わるヘルベルトではなかった。
「小賢しい娘!それなら…」
ヘルベルトはそう言うや…その突き立てた長剣でマーガレット共々、ミヒャエルを串刺しにしようと迫った時であった。ヘルベルトの手に、どこからともなく一本のナイフが飛んできて突き刺さったのであった。
「………!?」
ヘルベルトはそれが飛んできた先を見ると、そこにはベルディナータの姿があった。ヘルベルトは怒りを露にベルディナータへと言った。
「女!この様なことをしてただで済むと思っておるのか!」
ヘルベルトはあまりのことに、その顔を真っ赤にして怒鳴ったが、ベルディナータはそれに動じることもなく、それどころか微笑まで浮かべていたのであった。
「第一王子を暗殺し、次は第三王子か…。全く、お前はくだらんな…。これが成功していれば、次は父である王に刃を向ける気か?天に弓を引いても、お前には何も残らんと言うのに…。」
淡々と語るベルディナータに、さすがのヘルベルトも真っ青になってたじろいだ。
「女…お前は一
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