214部分:聖剣その三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
聖剣その三
「ところでスコピオ公」
セリスが尋ねた。
「はい」
「戦いに参加されずユングヴィの当主からも退かれるとするとどう為されるおつもりですか?このまま隠棲されるおつもりですか?」
スコピオはその問いに対し頭を横に振った。
「実はもう決めてあるのです。これから私が歩むべき道を」
「それは何です?」
「それは・・・・・・これです」
彼はそう言うと腰から剣を引き抜き自分の金髪に当てた。そしてバッサリと切り落としてしまった。
「え・・・・・・!?」
セリスは緑の草原に落ちた金髪を見て驚きの声をあげた。だが当のスコピオは冷静なままである。
「これより私は弓と剣を捨て修道院に入ります。そしてそこで信仰と学問の世界に生きたいと思います」
一連の思いがけない言葉と行動に唖然としていたセリスだったがすぐに冷静さと取り戻した。そして答えた。
「わかりました、新たな人生でのご成長をお祈り致します」
「はい」
スコピオは礼をした。それは右手を肩の高さで直角にするユングヴィの敬礼ではなく右手の平を胸に置き頭を垂れる僧侶のものであった。
こうしてスコピオは俗世を離れ修道院に入った、後の時代に大陸の修道院の在り方を根本から変える修道院の大改革が行なわれたがその指導者であったのが彼であった。
余談であるがスコピオの予言通りファバルは後の世に『ウルの再来』とまで称される程の人物になった。息子や甥のその様な姿を見てブリギット、エーディンは目を細めていたという。
続いてエッダ僧兵団を率いるフィラート枢機卿との会見が行なわれた。
かなり薄くなった白髪に穏やかな黒い瞳を持った老人である。何処となく気品と知性を漂わせている。水色の法衣とマントを羽織っている。かってはクロードの側近として知られた人物であり世間の評価は悪くはない。セリス達も悪い印象は受けなかった。
会見はつつがなく終わった。エッダ僧兵団の解放軍への参加とエッダ家の名誉回復、民衆の安全の保障及び信仰の自由も約束された。尚優れた医師でもあるフィラートは後方で戦傷兵や孤児達への対応にあたることを希望し、セリスはこれを了承した。
「枢機卿、お久し振りです」
クロードが前に出て来た。フィラートはそれを見て顔を綻ばせた。
「おおクロード様」
かっての主従の再会であった。
「またこうしてお会い出来るとは。これもブラギ神の御導きでしょう」
「私がアグストリアに逃れている間よくブラギの社稷と教団、そして民達を守ってくれました。このクロードブラギ神に代わって感謝いたします」
クロードはそう言うと頭を垂れた。
「いえ、クロード様の今までの御苦労に比べたら・・・・・・。私はただブラギ神の御導きに従っただけです」
「ですがブラギ神のお言葉は心清く志高き者にしか聞こ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ