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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十一話 敵要塞迎撃の準備に取り掛かります。
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いてですが。」
シュタインメッツの複雑な思いは後半部に凝縮されたと言ってもいいだろう。帝国からの亡命者である彼が帝国と「同胞同士の殺し合い」を演じることに、いささかも心を動かされない、というはずもないのだから。味方の血は流れないが、敵の血が流れるのは幾百万か。それとてもこの広大な銀河においてはほんの一滴にも満たぬ量なのである。
「失礼いたしました。まだ勝つと決まったわけではありませんのに、敵の心配をしていても仕方ありますまいな。」
かすかな自嘲気味の苦笑を表情にのぼせてそう言ったシュタインメッツに、ウィトゲンシュティン中将がうなずいて見せた。
「私たちはまず勝たなくてはならない。それも味方の犠牲がゼロであれば尚更良いというものだわ。シュタインメッツ提督の言う通り、到着早々にイゼルローン要塞に向けて主砲全力射撃を行うように提言してみましょう。仮に敵がうろたえて出てくるのであれば、艦隊が迎撃してこれを破る。第十三艦隊としてはそのような方針を提案したいのだけれど。」
幕僚を見まわしたが、反対する者はなさそうだった。シェーンコップ大佐はというと何も言わずに、皮肉そうな笑みを浮かべているだけだった。
「艦隊司令官たるものが艦隊を動かさずに他人の手をもって功績を得ようとするのですか。いやはや、時代は変わりましたな。」
とでも、言いたげな表情であった。が、ウィトゲンシュティン中将はそれをかすかに赤面しながらも無視した。シェーンコップ大佐に抗弁する代わりに、
「この第十三艦隊は私たちの家なのだから、その家長たる私はどんなことをしてもこの家を守り抜く義務があるわ。」
と、断固たる決意を眼差しに込めて言ったのである。


 イゼルローン要塞に向けて航行するアーレ・ハイネセンの道中については、特に述べることもないので割愛しよう。事故らしい事故は起こらず、回廊付近の最後のワープアウトの手前で、1日の休息を取り、第十三艦隊と第十七艦隊と合流、臨戦態勢に入った遠征軍はそのままワープアウトしてイゼルローン回廊に突入したのである。


 フィオーナたちがイゼルローン要塞に着任した後、8月1日自由惑星同盟の移動要塞イゼルローン要塞『アーレ・ハイネセン』は、その巨体をイゼルローン回廊に出現させたのだった。同時に自由惑星同盟は帝国に対し、和平条約の期限を延長しない旨、通告したのである。


 原作とは異なる、要塞対要塞戦が攻守所を変えて始まろうとしていた。

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