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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十一話 敵要塞迎撃の準備に取り掛かります。
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フェザーン自治領主府では、ルビンスキーがボルテックから報告を聞いているところだった。
「そうか、帝国、同盟がついに動き始めたか。」
報告書をデスクに置くと、ルビンスキーは満足げな顔をしていた。一年間の休養は双方に力を蓄える期間として位置付けられていることは彼自身にもよくわかっていたが、さりとて何もないではいささか退屈すぎると言わざるを得ない。
 もっとも、ルビンスキーはこの期間を利用して帝国、同盟双方にいくつかの布石を打っていたし、情報収集も欠かさず行っていた。
「さようで。今度の戦いでは同盟の建造した要塞がいよいよ動き出すとの評判です。」
「要塞対要塞か。要塞を建造するのは何も帝国だけの特権ではないと思っていたが、本当にやるとは思わなかったな。」
ルビンスキーはいかつい顎を撫でていた。今回の要塞建造ではいささかフェザーンから同盟に対して資金援助を裏表にわたって行っているが、これはひそかなる同盟とフェザーンとの間の戦いのほんの一端に過ぎない。
同盟が再三経済面で独自の経済圏を構築する動きを見せる都度、ルビンスキーはそれを潰そうとし、同盟はそれを躱そうとするという戦いが続いていることを知っている者はごく一部だけだ。ルビンスキーにしてみれば、面白からぬことである。彼は同盟に対しての資金提供を強化して、いくつかの関係団体、著名人を取り込むことには成功していたが、決定的な一手を与えあぐねていた。
 敵は弱体化するどころか、先年のようにフェザーンの企業を取り込もうともしてくる手ごわい相手だ。一気にケリをつけるのは難しく、腰を据えて粘り強く取り組まなければならない。ルビンスキーはそう思っていた。
「どちらが勝っても国力に少なからず影響を及ぼすことになる。我がフェザーンとしては傾いた天秤を元に戻すべく手当てをすればよい。」
「しかし、自治領主閣下。」
ボルテックがここで、日頃抱いていると見える疑問を口に出す良い機会だと思ったらしく、
「帝国同盟双方の均衡を保つだけでは、現状はあまり変わらないのではありますまいか。」
「帝国同盟のみをみれば、だ、ボルテック。相対的な見方をすれば、帝国同盟双方が疲弊するその一方で、フェザーンの国力が増すこととなる。」
「はぁ、それはそうなのですが。しかし、決定的な一手を構築しない事には――。」
「フェザーンには武力がない。したがって、帝国同盟のような戦略戦術は取れんのだよ、補佐官。」
ルビンスキーは言下にそう言った。
「もっとも、それこそがフェザーンの強みでもあるがな。力を行使する者はその力におぼれることとなり、その力なくして物事を見ることができん。」
ルビンスキーはそう言いながらも、冷静に自分自身を見ることを怠っていなかった。今の話は、ボルテック、ほかならぬ我々自身にも当てはまることなのだ。それを理解して
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