213部分:聖剣その二
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聖剣その二
「こちらはユングヴィ、エッダ、アグストリアの軍を入れると九十万以上・・・・・・。ユングヴィを押さえてグランベルでの足掛かりも得た。戦略的にも兵力的にも圧倒的に有利な状況にある。けれど油断は出来ないね」
セリスもそう言うとシアルフィの方を見た。
「その通りです。相手は大陸最強と謳われた軍団、そして我がシアルフィの仇敵です」
「バーハラの戦いだね。父上が命を落とされた」
セリスはポツリ、と言った。
「はい、シグルド様のご無念、今こそ晴らす時が来たのです。セリス様、お任せ下さい。必ずやあの男をこのシアルフィで葬り去ります」
オイフェは強い口調で言った。
「何か策があるんだね」
「はい」
オイフェは主の言葉に対し強い口調で言った。その表情から確固たる自信が窺えた。
三日後ユングヴィ城東の野営地においてセリスは弓騎士団を率いるユングヴィ公スコピオと会見の場を設けた。
まずセリスとスコピオは固く手を握り合った。
「お初にお目にかかります、スコピオ公」
長い金髪に黒い瞳を持つ長身の美しい青年である。茶の軍服にズボン、白いマントと黒いブーツを身に着けている。
「こちらこそセリス皇子」
両者はそう言うと互いに微笑み合った。
「この度の我が軍への合流、感謝致します。ユングヴィ家の誇る弓騎士団の参加は我々にとっても頼もしいかぎりです」
「天命に従ったまでです。グランベル帝国には最早大義はありませぬ故」
「大義、ですか」
「はい。私は民を安からしめる事こそ大義であると考えております。虐政の限りを尽くすグランベル帝国はそれを失いました。機を窺い離反する時を待っておりましたが今その時が来たのです」
「そうですか、民の為に・・・・・・。これからも民衆の為に戦いましょう」
「いえ、私は戦いません」
スコピオはセリスの言葉に対して首を横に振った。
「えっ!?」
セリスは意外な言葉にキョトンとした。スコピオは続けた。
「ユングヴィ家は弓を司る家、我が家に伝わる十二神器の一つイチイバルを使いこなせる者が当主であると定められていました。イチイバルを扱えぬ私には当主たる資格はありません。貴軍におられる我が従兄弟ファバル殿こそユングヴィ家とイチイバル、そして我が弓騎士団を率いられるに相応しいお方です」
彼は先の聖戦で死んだブリギットやエーディンの弟アンドレイの子なのである。
「おい、勝手な事を言ってくれるな。俺にそんな大役は務まらねえぞ」
丁度その場にいた当のファバルが口を挟んだ。
「いえ、大丈夫ですよ」
スコピオはそれに対して微笑んで答えた。
「何でわかるんだよ」
ファバルは言った。
「目です」
スコピオは答えた。
「目!?」
今度はファバルがキョトンとした。鳩が小石をぶつけ
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