暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
光明、明転、転戦
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仮にも、先の世界樹攻略に次ぐケットシー史上最大規模の作戦なのにナー、と肩を落とす領主に、共感したように頷く同胞が幾らかいた。

しかし、これでノームの件はほとんど片付いたも同然か。

「テオドラちゃん、キミがノームの説得を?」

カグラとの会話を打ち切った女性は、こちらを見上げながらニッ、と快活な笑みを浮かべる。

「ンなお上品なモンじゃねーって、領主さん。『あたしの邪魔すんな』……それだけで充分だろ?」

―――よーするに脅迫ってことネ。

さすがはあの子(レン)の同輩だ。

ふぅ、と吐息を吐くアリシャは、言葉を重ねる。

「とりあえず、協力には感謝するヨ」

「気にすんな。こっちはガキのカウンセリングもどきで溜まってンだよ。……ただまぁ、そうだな」

首に手を当て、ごきりと鈍い音を響かせたテオドラは、それがシフトレバーだったかのように口許に浮かぶ笑みを獰猛で好戦的なモノにゆっくりとシフトしつつ、口を開いた。

「気持ちよく暴れさせてくれりゃ、文句ないよ」

「……ご期待に沿えるように、尽力するヨ」

アリシャは肩をすくめ、こちらに視線を投げかけてきていたヒスイに言葉を紡ぐ。

口にするのは、核心を抜いた言葉。

「ヒトは?」

「もーちょい。けど増加率から考えると、移動時間で頭数はキチンと揃えられる算段ぇ。心配あらへん」

「うん、了解」

ふんふん、と人差し指で手持ちの羊皮紙上のチェック項目を一つずつ確認していく。

それを終え、最後に大きく頷いたアリシャは羊皮紙を適当に放り投げ、拡声魔法の呪文(スペル)を小声で唱え始めた。いくら普段が普段で、政権を手に入れてから前線から離れていたとはいえ、ケットシー族の中でも屈指の古参。練達した詠唱技術は、システムが認識できるぎりぎりのボリュームで、滑らかにスペルを刻む。

魔方陣が展開され、視界端に拡声器のアイコンが派手なサウンドエフェクトとともに出現した。本来は指揮官クラスが戦場の仲間達に通す指示を、敵モンスターの咆哮などによって潰されないようにするための魔法なのだが、こういう使い方もあるのだ。

アリシャは領主館の出入口の大扉、その前に仁王立ちし、集まった大集団の顔を睥睨した。

一度息を吸い、吐く。

領主アリシャ・ルーは、宣言するように――――宣誓するように、こう言った。

「あー、長い口上は嫌われちゃうから言わないヨー。これでも総選挙発表はもーすぐだからネ。応援してくれてる皆のために、好感度保っておかないとイケナイのは辛いトコだヨー」

一同の中から、失笑が漏れる。

余計に気負った力が抜ける。だからといって、ただ腑抜けになるのではない。抜けた分だけ視野が広くなる。

上に立つ者として、一言で
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