暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
光明、明転、転戦
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欠片も臆することなく向き合った。

その中央。

竜騎士(ドラグーン)隊と狼騎士(フェンリル)隊の境目に立つ二人の女性と。

一人は、アリシャもよく知っているフェンリル隊副隊長、ヒスイ。彼女もまた、テイマーらしく傍らに小山のようにそびえる自らの巨狼、ガルムをいたわるように撫でていた。

そしてその近くで若干肩身狭そうに佇むインプの女性。路面スレスレまで垂れた緋袴と白衣、その古式溢れる巫女装束に不釣り合いなほどの大きさ長さを誇る太刀を帯刀するプレイヤー。

炎獄(テスタロッサ)》カグラ。

こちらに視線を向けてくる彼女らに軽く手を振り返しながら、しかしアリシャの意識はガルムの背後から出てきた三人目の女性に釘付けになっていた。

その女は、長身だった。

黒瑪瑙(オニキス)のような黒髪とその向こうに見える瞳は鮮やかな青。だが、それを差し置いて目を引くのはその体表色だ。

しなやかな肢体は滑らかなチョコレート色。しなやかだがきちんと女性らしい身体を包むのは、サリーだっただろうか、インド辺りの民族衣装のようなゆったりとした薄い布だけ。別にネグリジェみたいに透けていないにも関わらず、ハラハラしてしまう危うさがあった。

そんな装備も相まって、どこか踊り子も連想させるノームの女性は、裸足でぺたぺたと歩いて来て、後頭部を掻きながら口を開いた。

「カグラぁ、どこかどう間違ってこーなってるのか、いまだによく把握してないんだが?」

「わざわざ来てまで開口一番迷子捜しが嫌だと言い出したのは、あなたじゃないですか……。それに、こちらの方が満足な結果になると思いますが」

さらりと返された言葉に即座に口をつぐまされた女性に、アリシャは思わず呟かざるを得なかった。

「……《暴虐存在(ランペイジ)》、テオドラ」

確か、ノーム領に比較的最近出現した超新星だったか。かの《超越存在(アスタリスタ)》と同じく、瞬く間に十存在入りを果たしたプレイヤーで、ウチの領でも要注視人物としてマークしていた。

最悪ノームのパワーバランスの追随をも覚悟していたのだが、幸いにして彼女はアカウントを作って早々、脱領者(レネゲイド)となりマークは外れたのだが。

しかし、噂ではノーム領主が彼女を手放さないために仕向けた一個大隊をこの女性は単騎で鏖殺したというのだから、その実力はただ事ではないだろう。十存在入りがこれほど早く成ったのも、それが一因と言われている。

ともあれ、そんな思考も断ち切り、眼前でカグラと会話するテオドラに目線を固定させながらも隣の部下にアリシャは声を投げかけた。

「何で彼女がいるの?」

「カグラさんが誘ったみたいですよ。なんかヒマだったみたいで」

なんか飲み会に誘われたような参加方法だった。

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