暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
光明、明転、転戦
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いる自分を改めて認め、いかに領主に向いていないか分かったからこその苦笑だ。

―――変わったっていい。史上最悪な領主って蔑まれても構わない。

後進はちゃんと育っている。何も心配することなどない。

そう思いながら、隣を歩く幹部ケットシーの一人を見ると、怪訝げな表情をされた。

それを笑顔で誤魔化し、再び前を向きながら、少女は思う。

―――ケド、それは万全なケットシーを渡したい。薄汚い屑漁りに傷物にされたヤツらなんてレッテルを、絶対に貼らしちゃならないんだヨッ!

ズン、と勢いよく足を踏み出しながら、アリシャは鋭い声を投げる。

「シルフは同盟関係もあってか、初めから乗り気で承認されました。サクヤさんから、一部費用の肩代わりも提案されてるぐらいです」

「サクヤちゃんには悪いけど、今回だけは費用は全部こっち持ちで!サクヤちゃん自身は良くても、費用を払ったことでシルフ領民がそれでチャラって思っちゃうかもしれないからネ!」

「了解!」

「今回、傍観を決め込んでいた闇妖精(インプ)音楽妖精(プーカ)鍛冶妖精(レプラコーン)からも、それぞれ現認してます。ただ、レプラコーン領主だけが不在だったので、懸念は残りますが」

「そこは後で騎乗動物(テイムモンスター)しこたま押し付けてゴマスリするしかないかもネ。ひとまずその三種族についてはそれでオーケーだヨ」

領主館の玄関ホールは、天窓までブチ抜いた高い吹き抜けになっている。

宵闇を越え、完全に夜のとばりが下り、真っ暗な闇を真珠色の灯りが裂いている大空間の中、大集団は足早に通過していく。

火妖精(サラマンダー)は意外でした、領主(モーティマー)は、こちらの要求など跳ね除けるものとばかり……」

「……皆、殺し合いなんて望んでないんだヨ」

アリシャは目を細める。

先刻、執務室で遠隔映像会話魔法《月光鏡》でサラマンダー随一の頭脳と名高い彼と交わした会話が思い起こされる。

ぎゅっと拳を握ったアリシャは、真っ直ぐ前を見据えて口を開く。

「サラマンダーはクリア。問題は土妖精(ノーム)だヨ」

「あ、その件なんですが――――」

「ん?」

玄関ホールを横切り、アリシャは勢いよく大扉を開け放つと、軽く眼を見張った。

大通りに面した領主館。その前には、ちょっとした小山のような集団があった。

綺麗に整列した飛竜(ワイバーン)、そして巨狼だ。両者とも騎乗するための鞍と、レプラコーン謹製の専用鎧を装着しており、街灯の光を浴びて燦々と輝いている。

その巨躯の傍らには各々の騎手(テイマー)がいて、戦意の吐息を吐き出す巨獣達をなだめていた。

ずらりと並ぶその壮観さに一瞬声が詰まった一同。

だが領主ただ一人は、
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