第二章 Lost Heros
回避、そして再戦
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「クソッタレがァ!!!」
裏路地で、一方通行が地面を蹴り飛ばしてその怒りをブチまける。
しかし、すでにこの場にはその対象はいない。
今この場には彼一人しかいないのだ。
つい十分前の事。
一方通行は蒔風に向かって突っ込んでいった。
だが蒔風はその瞬間に、歯を食いしばって力を捻り出し、それを発動させる。
直後、一方通行の身体の勢いが止まり、蒔風の腕が折れた。
その痛みに蒔風が呻くが、一方通行は何が起こったのかまったくわからない。
ただ、自分の力がはっきりと断ち切られているのは感じとった。
更に周囲を見渡せば、何やら風景が変わっている。
否、見た目が変わったわけではない。風景はまるで変わらないのだ。
しかし、確実に何かが違う。まるで向こうの風景が、写真に張りつけられたモノのようにしか見えないのだ。
「どォいうことだ・・・・電波が切れたわけじゃねェのに力が失われただと?」
「ハ・・・・ァ゛ッ・・・・・・ッッ!!!」
そうして、蒔風が指を鳴らして、瞬時にその場から消えた。
それを彼も追おうとするのだが、一歩前に足を出すとなぜか横に進み、さらに一歩踏み出すと能力が発動して真上にジャンプしてしまった。
そうしているうちに、三十秒が経ってその空間が消えた。
そして今、逃走した男を追って周囲を捜索、見つからずに十分経ってしまった、というところだったのだ。
(だがあのヤロォもかなり重症だッた・・・ッつーことはだ。この街からは出られるわけがねェ)
そうして、彼が再び捜索を始める。
獣のように猛りながらも、頭は冷静に研ぎ澄まして。
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「ハァ・・・ハァ――――す、すまない。一室貸してもらえるかな?」
「はいって・・・だい、大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ・・・問題ない・・・・ただ救急箱はくれ」
そう言って蒔風がやってきたのは第三学区の個室サロンというところだ。
カラオケボックスを豪奢にしたような施設で、『監視の目が完全に無い場所』として重宝されてるのだとか。
純粋に楽しむだけでなく、もちろん不良集団が溜まっていることもあるのだが、もちろんこんな重傷人が来るところではないのは明らかだ。
だがそれでも蒔風はにこやかに笑顔を作ってなんでもないように部屋の鍵を受け取っていく。
フロントの男性はおそらくアルバイトなのだろう。最初こそ驚いたが、何かの事情を察してそれ
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