同棲時代の封印
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なんで!?」
「―――こいつ、部屋の温度を地味に調整してたんじゃ……」
「そんなことまですんの!?」
「あぁ…行動原理はさっぱり分からないが、奴は『判断』をしている。人を選んで重さを変え、気温によって室温を変え、食事までしている。…くっそう、一体何が封じられているんだ。…沙也加」
「危ない橋は私が渡れってか!!」
再び沙也加に殴り飛ばされた。
「…そんなことがあり、壺をどっちが引き取るかの話し合いがつかないうちに、いつしか俺たちは仲直りすることになり、結婚に至ったわけですが」
結婚式場の高砂で俺はマイクを握っていた。
純白のウエディングドレスに包まれた沙也加が、傍らに居た。突然の意味不明の告白に、参列客がざわつきはじめる。
「考えてみれば、こいつがあれば害虫は出ないしエアコン要らないし、もうこのままでいいんじゃないかということになり、この壺に何が入ってんのかは3年間保留に…しかし今日で俺たちの同棲時代は終わります。その区切りをつけるために」
式場のスタッフが、台車に乗せた『壺』を運んで来た。会場のあちこちから短く悲鳴があがり、数人は身構え始めた。俺は大きく息を吸い込み、高らかに宣言した。
「この後、ビンゴ大会の一等景品として『謎の壺』放出いたします!!」
要らねぇよ!!という満場一致の声で景品は却下されたし、何も知らなかった沙也加には殴られるしで最悪の挙式となった。
しかも持って帰った壺はいっちょまえに機嫌を損ねたのか、向こう3日間、このクソ寒いのに冷気を放ち続けた。
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