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自然地理ドラゴン
一章 小さき魔物 - 海竜と共生する都市イストポート -
第8話 シーサーペントの要望
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ィアが見かけた武装集団は、どうやらシーサーペントを監視していたらしい。
 いつもだいたい同じ場所に現れるそうなので、自警団が交代で見張りをしているとのことだった。

 この日も、二人が到着したときは十名以上の自警団がいた。
 挨拶をして事情を話し、水際ギリギリのところで座り込んで見張ることにした。

「そういえば。シドウってモンスターの言葉、わかるんだ?」
「いちおう。大魔王がいたころに使われていた共用語であれば」

 モンスターは、それぞれの種族がそれぞれのコミュニケーション手段を持っている。言語を持っている種族もあったが、種族を超えた使われ方は当然していない。
 そのため、かつての大魔王は、自種族である人型魔族の言葉を魔王軍の共用語にしていた。

 シーサーペントは大魔王との協力関係はなかったが、知的なモンスターである上、非常に長命である。その言葉が理解できたとしても、決して不思議ではない。

「へー、そのへんはさすがドラゴンの子供! でも、『この街を滅ぼすために来た』とか言われたらどうするの?」
「……さすがにそれはないと思うけど」



 監視については長期戦も覚悟していた二人だったが――。

「シドウ! 出たよ!」
「早いな」

 船着き場に二人で座っていると、ザバァという音ともに、対象はあっさりと姿を現した。

 ドラゴンを思わせるような、二本の角を持った頭部。がっしりとしたヒレ状の前足。蛇の腹をそのまま大きくしたような腹板。
 紛れもない成体のシーサーペントだ。

 全身が水の上に出ているわけではないが、係留されている漁船や、岸のリフトが小さく見えてしまうほど大きい。
 一階建ての倉庫よりも高さがある。

 たまたま通っていた船たちが、慌てて舵を切って避難してゆく。
 シーサーペントはそれらに一瞥もくれず、川岸で立ち上がったシドウとティアのほうに近づいてきた。
 そしてそのまま少しの間だけ二人を眺めていたが、

「……人間。言葉、わかるか」

 と低く、しかし囁くようにつぶやいた。
 シドウにはシーサーペントの使っている言葉が理解できた。
 流暢ではないが、やはり大魔王の軍の公用語だった。

「はい、わかります」

 シドウは返事をする。
 ティアはもちろん公用語を知らないため、黙ったまま双方を見つめている。

「やっと、わかる人間、また来た」
「ええと。何かこの街の人間に言いたいことがあるのですか?」
「汚れた、人間のせい。このままでは、我々、死ぬ。聞いた」
「え……」

 片言のようなブツ切りの喋り。シドウはそれを脳内で文へと紡いでいく。

「水が汚れた――そういうことですか」
「そうだ」
「人間のせい、というのは誰から聞いたんで
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