一章 小さき魔物 - 海竜と共生する都市イストポート -
第8話 シーサーペントの要望
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シドウとティアは、さっそく掲示板に貼られている依頼を確認した。
そして、上級冒険者以上を対象とした、妙な依頼を見つけた。
「あの、貼られていたこの依頼なんですが」
受付に立っていた体格のよい壮年男性に聞く。
「ああ、それか。どうもここ最近、港にシーサーペントが入り込んでくることがあってな」
「えっ??」
シドウは驚きの声をあげてしまった。
「被害は出ているのですか?」
「まだ実害は出てない。最初は水面から頭を出して、そのまま少し川岸を見つめているだけだったんだが……。だんだん居座る時間が長くなってきてるんだよな。
昨日なんかは岸にいた人間に寄ってきて、何か言ってたみてえでな。不気味すぎっつーことで、商会から調査の依頼が出ている」
昨日といえば、シドウとティアは川岸を歩いている。
そのときには目撃していない。たまたまタイミングが合わなかったか。
「なんて言っているかまでは、わからなかったんですね?」
「ああ。旧大魔王の軍が使っていた言葉かもしれねえ、とは言われてるが」
かなり特殊案件ということで、受付の男性もやや困惑気味のようだ。
「この都市に言葉がわかる冒険者がいればぁいいんだが……。大魔王を倒したという勇者パーティのメンバーは、全員大魔王の軍の言葉がわかったらしい。今だって、少しわかる程度の人なら全然いねえってわけでもないと思うんだがなあ」
「……もしも、このまま調査が進まなかったら?」
「その場合は、討伐の依頼が出るだろうな」
「……!」
二人は昨日、シーサーペントの子供を見ている。そして地元の子供たちと戯れる様子も見ている。
そんな事情もあり、他人事とは思えなかった。
「あの。俺、言葉は少しわかりますので」
シドウはそう伝え、この依頼を受けることにした。
受付からは「二人だけのパーティでは万一のときに危険だぞ」と返されたが、「大丈夫」と答え、ギルドを後にした。
外に出ると、すぐにティアが思うところをぶつけてくる。
「シドウ、どう思う? そのシーサーペント、わたしはピヨピヨの親だと思うんだけど」
「シーサーペントは極端に個体数が少ないから、その可能性は高いだろうね。でも、港の中にまで入ってくるなんて、普通はないはずなのに」
シーサーペントは浜を利用することはあっても、港の中に入ってくることなどは絶対にない生物である。
高い知能を持っているため、人間の産業や生活の基盤になっている場所を理解し、そこまでは入り込んでこないのである。
「とりあえず、会ってみようか」
何か大きな問題が起きているのではないか? シドウは嫌な予感がしていた。
* * *
前日にシドウとテ
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