廃墟の章
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れている。
さて、教会の内装を見て回った三人は、最後に現在資料室となっている地下の文書保管所へと入った。三人がそこへ入ると、そこには二人の先客がいたのであった。一方は美しい栗色の髪が印象的な女性であり、もう一方はすらりと背の高い金髪の男性である。なにやら調べものをしている様子であったため、ディエゴは一先ず二人へと声を掛けた。
「ご一緒しても宜しいですか?」
そうディエゴが問うと、二人の先客はにこやかに了承してくれたため、ディエゴとレヴィン夫妻は中へと歩みを進めた。
「随分と広いですのねぇ…。」
エディアが中を見渡して呟くと、ディエゴが早速その問いに答えた。
「ここはですね、旧暦時代の礼拝堂跡なんですよ。尤も、この礼拝堂は原初の神を純粋に奉じた古宗教のもので、一般的にはあまり知られてませんがね。」
「なぜ地下なんですの?」
またしてもエディアが問うと、今度は先客の男性が遠くから答えてきたのであった。
「それは国に認められず、異端とされていたからですよ、マダム。」
男性がそう答えた時、隣で調べものをしていた女性が言った。
「ちょっと、見ず知らずの方に挨拶もなく、いきなりは失礼でしょ!」
男性は女性に行動を窘められ、バツが悪そうに笑って頭を掻き、そして三人の前えと歩み寄ったのであった。
「失礼しました。俺はミヒャエルと言います。」
男性はそう言って、先ずはディエゴへと手を差し出したのでディエゴも名乗り、差し出された男性の手を握ったのであった。続けてディエゴはレヴィン夫妻を紹介し、二人ともミヒャエルと握手を交わしたのであった。
「あと、あそこで熱心に古文書を読み漁っている女性は俺の連れで、名をマーガレットと言います。」
「あなたが私の連れでしょうが!それに、名を呼び捨てにされるいわれはないわよ!」
またしても窘められたミヒャエルは、仕方なさそうに苦笑し、三人へと向き直って話を続けた。
「いやぁ、無様なとこをお見せしました。彼女は小説家で、今は歴史資料を集めてるとこなんですよ。」
「そうだったんですか。それでは、僕が少しはお役に立てそうですね。僕は歴史学者なんで…。」
ディエゴが苦笑しながらミヒャエルへと答えるや、資料を読み耽っていたマーガレットが突然席を立ち、会話する四人の前へと来るやディエゴに指を言った。
「あなた!そう、そこのあなたよ!ディエゴさんとか言ったかしら?ちょっと教えて頂きたいことがあるんだけど。」
あまりに唐突に言われたため、四人は目を瞬かせてマーガレットへと視線を向けた。ミヒャエルは、そんなマーガレットを見て、やれやれと言った風に顔を片手で覆ったのであった。
「マーガレット。いくら君でも人に頼み事をするとき、そんな物言いはしちゃいけないだろ?たとえ侯爵の令嬢だとしても、誠意をみせなく
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