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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第80話:1からのスタートではなく、0からのスタート? いいえ、マイナスからのスタートですよ。
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クーデターに発展するかもしれない」
「しかし国家の最高指導者に、そこまで反発するとは……」

「では誰もが奴隷制度撤廃を受け入れたとする。何人居るのか判らないが、突然大人数の奴隷が食いぶちに困る……これが何を意味するのか解るかね?」
「……いいえ」

「我が国の調べでは、貴国の奴隷は少なく見積もっても300万人はいるだろう。その300万人が一斉に職を失うんだ。今までは人間的な扱いをされなくても食事は心配せずに居られた。しかし奴隷である事を失った途端、彼等は明日の食事にありつく為に働かねばならない。これまで奴隷を扱ってきた農園等は、奴隷の代わりに給料を支払って働く労働力を入手しなければならなくなる。果たして手放した奴隷を全て丸々雇うだろうか?」

「や、雇わねば立ちゆかなくなるのでは……?」
何だこの男……こんなに甘い考えで我が国と手を結ぼうとしてたのか!?
王位継承権第二位だから、それ程深く考えることなど出来ないのか?

「経営者というのは、コストパフォーマンスを考えて経営にあたっている。奴隷と一区切りにしても中には年端のいかない子供や、足腰の弱った老人も含まれているだろう。そんな生産性の悪い連中を、高い賃金を出して雇うと思うのか? 奴隷の中には1人で2.3人分の働きをする存在だって多数居るだろう。そういったコスパの良い人材を優先して雇い、コスパの低い存在は誰も雇ったりはしないのではないかね?」

「で、ですが……私は人道と言う観点から……」
「人道ねぇ……職を失い食事が出来なくなるのに、人道もないだろ。人民を納得させるには、食事は必須だ。どんなに善政を敷いても、飢えを甘受できる人間は存在しない。先ずは空腹を満たしてやる事こそが必要なんだよ」

「で、では……グランバニア国王陛下も、奴隷制度撤廃に反対であると?」
そんな事は一言も言ってないだろ! 我が国に来て『奴隷制度撤廃したい』と嘯いてるが、そのビジョンが不明瞭だと指摘してるんだよ。

「そう聞こえたのなら私の言い方が悪かったな……ではハッキリ言うが、君が我が国の威勢を借りて自国の改革を行おうとしてる事に、グランバニア国王として同意できないと言っている。現状では君が国家改造を行う為に兵を挙げても、その兵は大多数がグランバニアの兵であり、我が国には無関係なホザック王国の内乱に巻き込まれてしまうからだ。我が国に何の益がある? 無駄に兵を失うだけだ……話にならんよ」

厳しいな……
ギルバート殿下も側近2人も、何も言えず俯いてる。
他の随行員4人だけは、冷ややかな目で殿下を見据えている。

「……と言う訳で、(リュリュ)を娶りたい気持ちは解ったが、本人が私との縁を君より優先してる以上、口説いても無駄なのだよ」
「え!?」

先程まで国家間の統治問題を
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