暁 〜小説投稿サイト〜
真田十勇士
巻ノ七十八 打たれる手その十一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 そしてだ、四天王達に言った。
「治部じゃな、問題は」
「はい、あの御仁はやはり」
「動かれるでしょう」
「そうせずにはいられませぬ」
「そうした方ですな」
「間違いなくな」
 動くとだ、家康も言った。
「そうしてくるわ」
「では、ですな」
「上杉家に対しては」
「伊達家と最上家に」
「それに」
「義伊松じゃ」
 家康の次男である結城秀康だ、武勇の持ち主として知られている。
「あ奴も向けてじゃ」
「そして、ですか」
「いざという時はですか」
「上杉家への備えを置き」
「そのうえで」
「うむ、西に戻るか」
 こう四天王に応える、そして今度は伊賀者と甲賀者を呼んでまず甲賀者達に対して命じたのだった。
「御主達は西国じゃ」
「治部殿達をですか」
「見よと」
「大坂城もな」
 この城もというのだ。
「頼んだぞ」
「わかり申した」
「ではすぐに西国に向かいます」
「その様に」
 甲賀者達は家康に応えすぐにその場から消えた、そして家康は次に伊賀者達に言った。
「今は半蔵はおらぬな」
「はい、十二神将の方々をお呼びです」
「今集められておられます」
「そしてそのうえで」
「殿の御前に参上します」
「では半蔵が戻って来たならばじゃ」
 その時はというのだ。
「あの者に伝えよ」
「何とでしょうか」
「一体」
「暫くはわしの傍におってじゃ」
 そしてというのだ。
「若し厄介な相手が出ればな」
「その時はですか」
「動いてもらう」
 服部、彼にというのだ。
「その様にな」
「では半蔵様にお伝えします」
「その様にな」
 こう言ったのだった、そしてだった。その話を聞いてだった。服部も家康の前に来た時に彼にこう言ったのだった。
「わかり申した、それでは」
「頼むぞ」
「はい、必要とあれば」
「十二神将を全て連れてな」
「そしてですな」
「ことにあたるのじゃ」
「十二神将全てとなりますと」 
 服部は主の話を聞いて言った。
「流石に相手が限られます」
「それこそ風魔か今も生きておるかどうかわからぬが果心居士か」
「若しくは」
「あの者達か」
「それがしとしましては」
「わしもじゃ、あの者達はな」
 どうにもとだ、家康も言う。
「出来れば味方について欲しい」
「左様ですな」
「家の全てが」
「そう思う、しかしな」
「それでもですな」
「それはわからぬ、人はやったが」
 既にというのだ。
「返事はまだない」
「では」
「それ次第じゃ、ではな」
「はい、然るべき時に」
「また動く」 
 こう言ってだ、家康はまずは兵を東に動かしていった。しかしそのうえでこれからの手を打つことを考えていた。


巻ノ七十八   完


    
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ